無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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て指摘したりはしない。それが翔太の優しさだとなのはは理解しているから。
「それじゃ、いこうか」
いつものように笑いながら言う翔太にうんと答えると二人は並んで歩き出した。
なのはは、恭也と合流するまでのこのちょっとした時間が好きだった。翔太と二人だから。誰にも邪魔されず、友達と二人だけで話す時間が持てることが素直に嬉しかった。もっとも、なのはがきちんと受け答えするにはまだ翔太が相手といえども時間がかかってしまうことが多かったが、翔太はなのはの答えを嫌な顔一つせず待ってくれるので、最近は前よりも短い時間で答えることができるようになっていた。
だが、そのなのはが好きな時間を楽しむ余裕は今日のところはなかった。お昼を過ぎた頃からだろうか、なのはの視界が安定しないのだ。グルグル回っているような気がするし、こうして歩いている間にも一歩一歩を確認しながら歩かなければ、左右に揺れていたことだろう。
これがばれるとこの時間がなくなることを本能的に悟っていたなのはは、翔太にばれないようにいつもどおりを装っていた。だが、装うということは、演じるということだ。マルチタスクを練習しているなのはといえども、体調が最悪なときにいつもの実力を発揮できるわけがない。
結果として、なのはの努力もむなしく、翔太になのはの演技はばれてしまっていた。
「なのはちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
気丈にもなんでもないう風を装って、拳を握って胸の前で上下させるが、翔太の不安そうな顔を拭うまでの効果はなかった。
そして、翔太は少し考えたような表情をした後、なのはが考えうる上で最悪の提案をしてきた。
「―――今日はお休みにしようか?」
それは、この時間を失うということだ。このなのはが一番好きなこの時間を。それだけは嫌だった。毎日、なんの楽しみもなく、屍のように生きてきたなのはがようやく手に入れた時間。それを与えてくれた人から、いとも簡単に投げかけられた言葉。それは、まるで翔太がなのはのこの一番好きな時間を軽く扱っているようで、ひどくショックを受けた。だから、そんな翔太の言葉を否定したくて、なのはは思わず声を上げる。
「ダ、ダメだよっ!! ショウくん、どうして―――」
どうして、そんなことを言うの!? という言葉は最後まで言うことができなかった。ダメだよっ! と大声で叫んだのがまずかったのかもしれない。あるいは、翔太にこの時間を軽く扱われたことがショックが大きかったのかもしれない。溜まりに溜まった疲労がこの場面でピークを迎えたのかもしれない。
様々な要因が考えられるものの、高町なのはは、翔太に対して最後まで言いきることなく、意識を暗闇の中へと沈めてしまった。
◇ ◇ ◇
「う、
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