無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くなのはが待ち焦がれた時間だ。つまり、翔太とのジュエルシード探し。もっとも、なのはの兄である恭也や姉である美由希やフェレットのユーノがついてくるが、なのはにはあまり関係ないらしい。自分を友達と言ってくれた翔太と一緒にいられるこの時間がなのはにとって至福のときだった。
その翔太であるが、彼は一年生のときから変わらず人気者だ。なのはが一緒に歩いていると必ずなのはの知らない誰かが、翔太に声をかけてくる。その内容は、放課後、一緒に遊ぼうという誘いだったり、授業で分からないところを聞いたりすることだったが、それらをすべて断わり、なのはと一緒にジュエルシードを探すことを選択してくれた。
それがなのはにとって、一年生の頃は、なのはにとって理想だった翔太を独り占めできているようで、なのはは優越感を感じていた。
ジュエルシード探しは基本的に日が沈んだ後も少し続けられる。大体、七時から八時までだろうか。後は、翔太の家の前まで恭也たちが送って―――高町家へ翔太の両親が来たときに取り決められた約束の一つ―――そこで、また明日、と別れる。やっていることはジュエルシードの捜索というありえないことだが、普通の友達とのやり取りのようで嬉しかった。
帰宅したなのはは、晩御飯を食べてお風呂に入り、また中庭で魔法の練習だ。しかし、それは、大体10時程度で切り上げ、後は部屋に戻って、魔力を高めるために自らの魔力を纏わりつかせる瞑想を行い、短針と長針が数字の12で重なる時間に眠りにつく。
これが、神社での戦いで恭也たちより強くなればいい、という結論を出した高町なのはの一日だった。
◇ ◇ ◇
――――早く終われ、早く終われ。
なのはは、まるで念仏のように早く終われと教卓の横に立つ担任を半ば睨みつけながら繰り返していた。前までは、ショートホームルームをいかに長時間やっていようが、気にならなかったが、ここ一週間ばかりは、無駄に長いこの時間をなのはは嫌っていた。
このホームルームのおかげでいつも翔太を待たせてしまう。それがなのはには忍びなかった。だから、終わった直後、それを待っていました、といわんばかりに鞄を背負い、ロケットのように飛び出していく。担任の先生の後に続いて教室を飛び出したなのはは、廊下を挟んだ向こう側に立っていた翔太を目にして息切れしそうなほどに急いで駆け寄った。
「ショウくんっ! ごめん、待った?」
「いや、ついさっき終わったところだから大丈夫だよ」
なのははそれが嘘だということを知っている。隣の第一学級のホームルームが終わるのは非常に早い。今日も十分ほど前に隣のクラスから駆け出していく生徒を見た。だから、翔太が待っていた時間は少なくとも十分以上であることは明白なのだ。だが、それをあえ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ