無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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することもなくなっている。
基本的になのはが動くとき―――通学時、体育の時間―――などはこの状態だ。
朝食を食べ終えたなのはは、母親からその日のお昼のお弁当を受け取る。だが、いつもなら笑顔でお弁当を渡してくれる母親の桃子が少し怪訝な顔をしていた。
「あら? なのは、少し顔色が悪いんじゃない?」
「そうかな?」
実のところをいえば、なのはは少し無理をしている。頭が回らないような気がするし、足元がおぼつかないのも確かだ。だが、もしも、ここでそれがばれてしまえば、桃子は学校に行くことを許さないだろう。ならば、絶対にばれるわけには行かなかった。
学校は、なのはが翔太に出会える唯一の場所だ。もしも、学校にいかなければ、ジュエルシード探しもなくなり、暴走体に出会う可能性もなくなり、魔法も使えなくなってしまう。それだけは絶対嫌だった。
だから、なのはは長年鍛えた演技で桃子や家族を欺く。
「私は、大丈夫だよ」
笑顔で言い切るなのは。なのはにとって幸いなことに幼年期の殆どをいい子であろうとするがために鍛えられた演技力は、なのはを決して裏切らない。桃子は、そう? と怪訝そうにしながらもなのはの言い分に納得したようになのはにお弁当を渡す。
桃子からお弁当を受け取り、その足で玄関へと駆け出し、いってきます、という言葉と共に家を出た。
学校に着いたなのはは、自分の席に着くとすぐにレイジングハートが示すカリキュラムを消化する。
むろん、学校の教室のど真ん中で魔力を漏らしながら実際に魔法を使うわけではない。魔法で戦闘を行うためには必須項目ともいえるマルチタスクの練習だ。
マルチタスクとは、言葉の通り、二つのことを同時に脳内で処理することだ。つまり、音楽を聴きながら勉強するといったようなことだ。通常の人間なら効率が悪いことになるだろうが、魔導師ともなれば、攻撃しながら次の攻撃。防御しながら回避などマルチタスクを多用する。
今、なのはは教師の授業をうけながら、レイジングハートが送信する仮想戦闘で魔法の訓練を続けている。レイジングハートが行う仮想戦闘は、魔法を覚えたてのなのはでもクリアできるように簡単なものからレベルアップしている。
しかし、翔太が以前感じたようになのはは魔法に関しては天才だ。一を聞いて十を知る天才が、千を知るために千の努力をしたとすれば、万の実力がつくことになる。現状のなのははまさしくそれだ。しかし、いくら人間っぽい返事を返そうが、機械であるレイジングハートにそれを伝える義務もないし、比べる対象もいないなのはにしてみれば、万の実力がついているかどうかもわからない。彼女たちは、己がどれほどの高みに登っているか分からず、強くなる努力を続けていた。
さて、学校が終われば、ようや
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