無印編
第十二話
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、僕はパカンと携帯を閉じた。
「はぁ」
同時に吐き出されるため息。この数十分で非常に疲れたような気がする。
「どうしたの? ショウ」
机の上のバスケットの中で半ば眠るような形になっていたユーノくんが僕のため息を聞いていたのだろう、心配そうな声で聞いてきた。
「いや、ちょっと大変なことが一杯でね」
先ほどまでの電話の相手は、アリサちゃんだった。
アリサちゃんとは先週から少し冷めた関係になっている。冷めているというか、アリサちゃんが拗ねているというか。そんな感じだ。もっとも、一緒にお昼を食べたりするのだが。ちなみに、アリサちゃんの親友であるすずかちゃんとは、あまり変わらない。時々、何かを問いたそうな顔をしている。
そんな折に入ってきた電話が、僕の二つ上の先輩からの電話だった。
その先輩はサッカーをやっていたときによく一緒になっていた先輩で、今は五年生。四年生からしか入部できない翠屋FCという地元のサッカークラブに入っており、聖祥大付属小の校庭で行われるお遊びサッカーには顔を出さないが、時々、思い出したように顔を出していろんなサッカーの技を教えてくれる。
そんな先輩からの電話の用件は、というと、明日のサッカーの試合に来て欲しいらしい。もちろん、助っ人とかいうおいしい役回りではない。僕はどうやら餌らしい。本命は、アリサちゃんとすずかちゃんだった。
試合の際、応援席に可愛い女の子がいると他のメンバーのやる気―――当然、その先輩も―――が全然違うらしい。確かに客観的に見てもアリサちゃんとすずかちゃんは二人とも美少女に分類される類だとは思う。僕に電話を掛けてきたのは、先輩が僕と一緒に歩いているアリサちゃんとすずかちゃんを見たことがあるかららしい。
断わることも可能だったが、その先輩は五年生のリーダー的ポジションにいる人で、三年生までは、サッカーの時には一緒にチームを組んだり、場所を分けてもらうように他の人を説得してもらったり、お世話になった人で断わることはできなかった。
そんなわけで、まずはすずかちゃんに電話。理由は僕がサッカーを見たいかつアリサちゃんと仲直りしたいということにして誘うことに成功。次は難関のアリサちゃん。
明日は、あたしたちより大事な用事にいかなくていいの? とか、色々言われたけど、ごめんなさい、と仲直りしたいということを話し、簡単に事情も話すからということで、翠屋のシュークリームを奢ることで手を打つことに成功した。
おそらく、今日で一番疲れたことだろう。
さて、問題がこれだけなら、後は明日にすべて回せばいいのだが、問題はこれだけではなかった。
どうやら、聖祥大付属の三年生以下で行われているサッカークラブのようなものに異変が起きているらしい。
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