無印編
第十二話
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前、隣のクラスの高町と毎日帰ってるだろう」
「そうですね」
最近、僕の放課後のスケジュールは、ジュエルシード捜索で埋まっている。
あの神社の事件から早一週間近く経とうとしている。その毎日、僕はなのはちゃんと放課後を共にしている。と言っても、途中から恭也さんか美由希さんと合流するのだが。最終的に僕となのはちゃん、ユーノくん、恭也さんか美由希さんの三人と一匹でジュエルシードを探している。
先生が言っていることも確かだ。しかしながら、男の子と女の子が一緒に帰るなんて小学生の中学年ならまだ普通だろう。僕の友達にだって家が近所だからという理由で一緒に帰っている男女を知っている。それが、なぜ、僕になるとそんな話に流れてしまうのだろうか。
「そりゃ、珍しいからだよ。お前が、毎日特定の誰かと帰ったことなんてあったか?」
先生の言葉を聞いて考えてみたが、そういえば、僕は特定の誰かと毎日帰宅を共にしたことはない。
なぜなら、僕はあちこちに顔を出すようにしているからだ。といっても、塾のときはアリサちゃんたち、サッカーなどのときは、男の子の友人といった風に特定のイベントに対して特定の友人というのは決まっている。しかし、毎日同じイベントが続くことはなく、結果として、毎日特定の誰かと帰宅するということはなくなるのだ。
「まあ、そんな感じで蔵元が、珍しく毎日同じ子と帰ってる。しかも、女の子。おお、蔵元に春が来たのか、と女性教師陣の間では噂になったわけだ」
「教師ってそんなに暇人なんですか?」
しかも、仮にも教師がそんな噂を作って欲しくない。
「なに、女という生き物はいくつになっても恋バナに目がないものなのさ」
「はあ」
僕は、呆けながら、そう返すしかなかった。先生の言うように女の子は恋の話が好きだということは聞いたことがある。僕が高校生のときは確かに誰々と誰々が付き合ってるなんて話はよく話題に上ったものだ。
「それに、まあ、憧れみたいなものもあるのかもな」
「憧れですか?」
「ああ、子供の頃って純粋な好意だけで恋愛ができるだろう? だがな、大人の恋愛って奴は面倒なんだ。結婚、子供、仕事、家族とかな。純粋な好意だけじゃできないことが多いんだよ。だからこそ、素直に好意を伝えられる子供の恋愛が羨ましいし、楽しそうに見えるんだろうな」
「先生……」
実に感慨深い話だった。
僕は結局のところ、経験と知識は大学生並だ。だが、それ以上、つまり、仕事をしている社会人としての経験も知識もない。だから、先生の言葉の端々から垣間見た大人の社会というものに思わず感心してしまった。
「で、結局のところ、どうなんだ?」
「先生……」
真面目な顔をしていたのにすぐに好奇心を前面に
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