暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(2) 〜交絶する光の涯て〜
[1/10]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
(駄目だ。これ以上の宝具使用を許可することはできない)

 時間にすれば数秒、それでも最大限をもって思考を重ねた末に。

 出した結論はフェンサーからの要請拒絶。
 危機的状況を打開する手段の破棄と踏まえた上で、オレは宝具使用を許さなかった。

(……その判断は、現状をちゃんと理解してのことよね?)
(ああ……これ以上の宝具使用は認められん。この場を解決できても後々に詰む可能性の方が高い)

 当然と言えば当然のこと。

 オレとフェンサーは既に幾度か交戦している。
 フェンサー自身の能力や技能はもちろん、切り札である宝具の3つうち、2つまでもを解禁した。

 それぞれのサーヴァントに対して別々の戦法で挑んでいる以上、交戦した相手に全部が全部を知られているということはないはず。
 けれどもこれは戦争であり、駆け引きや策謀による戦いもある。他マスター同士による何らかの取引での、情報交換がないとも言い切れない。
 
 キャスターなどはそれこそ"目"となるものを街中に張り巡らせているかもしれず、アーチャーなどは情報収集を主とする斥候等の単独行動に長けている。
 マスター同士の情報交換に限らずとも、各サーヴァントにも遠方から戦闘を視る手段、戦闘後の痕跡からこちらの能力を窺い知ることのできる能力を持った者もいるだろう。

 故に、ここでこれ以上手の内は晒せない。
 聖杯戦争もまだ序盤の今、既に第二の宝具を使用したこと自体がリスクを孕んでいる。

 恐らくフェンサーに残っている手札は最後の宝具と、彼女自身の何らかの能力だけだ。
 後者についてはオレの勘だが、自身の宝具や真名を秘密にしているフェンサーが、既にここまでで全て見せきっているということは絶対にない。
 隠しているであろうそれがサーヴァントとの戦いで有効となるモノかはわからないが、見せていない以上、意表を突くような隠し札がまだあるのだ。

 ならばオレは現状を、考え得る総ての手段を以て打破しなければならない。

(すぐにそっちに戻る。それまでなんとか防衛してオレの指示を待て)
(無茶言ってくれるわね……)
(すまないが……頼む)

 校舎外から響くタスラムの射出音と天馬の飛翔音が戦況を物語っている。
 それ以降念話は途絶え、フェンサーに余裕のない状況であることを示していた。

 神秘の顕現である宝具の応酬、現代に召喚された幻想種の暴威。
 一介の魔術師一人にはどうしようもなさそうなこの状況。だがヒントは既にこれまでの戦いで得ている。



 それは黒守の秘奥である概念実装の魔術。



 フェンサーや夢での青年の正体は不明ではあるが、彼女が扱うそれは間違いなく、黒守(オレ)が求める完成形そのものだ。

 その魔術理論
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ