暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(2) 〜交絶する光の涯て〜
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だが間違いなく宝具の真名解放によるその一撃は、幻想種である天馬ごとライダーを切り裂くには容易に過ぎる。

 魔術師が、たかが人間が、宝具を発動するなどと想定外にもほどがあっただろう。

 宝具であるこの剣でならばサーヴァントを殺傷することは可能。
 しかしこの状況で触れられることなどありえないと、タカを括っていたのも無理はない。

 その予想外の一手こそが、オレたちを勝利へと導くのだ。

 小さいながらも放たれた光の斬撃は天馬を両断し、その天馬に跨っていたライダーにも直撃する。

 光の粒子となって消える天馬。
 大量の血を吹き出し錐揉みながら地へと墜ちていくライダー。

 終わった。

 想像以上に長引いた戦いだったが、ようやく決着が着いたのだ。



 そう安堵したのも束の間。



「っ……く…………!」

 地上に墜落しながらも、ライダーは半身を断たれた状態で立ち上がり鉄杭を構える。

 標的は最早立っているのもやっとのフェンサーだ。
 ライダーはもう消滅するしかない。これだけの損壊を受けて再度復活することは不可能だ。 

 だからこそ。一矢報いるためか英霊としての意地か。
 フェンサーだけでも道連れにすると言わんばかりに最後の力で疾走した。

「────■■■■ァァァア!!」

 腹の底からナニかを叫び、彼女に向かって宝剣を投げ飛ばす。
 重力制御の魔術効果が切れ、落下し始めている自分のことすらどうでもいい。

 ようやく勝利を手にしたというのに、彼女を失っては何の意味もないのだから…………!!











「ぇ……?」

 意識が途切れかけていたのだろう。
 誰かの叫びに反応して現実に引き戻された。

 虚ろいかけていた瞳に意志が戻る。
 下がっていた視線をまた空へと向ける。

 そこにいるのは天馬…………ではなく、己が主である黒守黎慈の姿。

 そして彼は何故か落下していた。
 
 見るに何の魔術効果も働いていない。
 このままでは地面に激突してしまう。

 ────身体に活力が満ちる。

 目前には鉄杭を振りかざしているライダーが居た。

「ッ!」

 飛んできた宝剣を掴み取る。
 ライダーの決死の一撃は直撃寸前。

 一秒にも及ばない時間の中、その一撃が勝敗を分かつ──!!

「────────」

 命が絶たれる。その長く美しい髪が舞う。
 限界の更に限界の先、揺れ動き続けた勝敗の天秤がついに止まる。

 自らの命を絶つはずだったその一秒すらも置き去りにして、神速の聖剣はライダーを両断したのだ。
 
 だが私の身体は止まっていない。

 端からライダーのことな
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