第一物語・後半-日来独立編-
第十八章 無意味な会議《1》
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達は監視が仕事だからほっおいておこう」
丸眼鏡の向こうの目を細め、仮面を被っているように感情を隠す。
話しによれば、昔は相当の実力者だったらしいが今はただの一家の黒柱となっている。
彼の子が確か高等部二年生にいたことを、向こう側にいる神崎を見て飛豊は思う。
ここでこれまでの空気を払うように、葉木原は咳払いを一つする。
「立場を弁えろ神崎」
「うちの子が彼らの一つ下でね、応援したくなっちゃうんだよねえ」
「無駄話は後にしろ」
そう切り捨て、話を戻し、
「こちらの場合の今後を詳しく言うと、独立宣言を撤回し素直に奥州四圏の言う通り他勢力群へと移住する。
こうした場合、ある程度の手助けを奥州四圏から受けることができ、被害を出さなくていいからな」
「そうすれば日来は無くなり、皆散りじりになってしまう」
「お前達の場合でも結局はそうなるだろう」
慣れた口調で、言葉の意味を打ち消す。
●
円の外。
三年一組は一つに固まり会議を見ていた。
二列に分かれ、後列の者は前の者の背にもたれ掛かるように身を倒す。
後列にいる恋和は、そのクリーム色の長髪をなびかせ、
「意味の打ち消しね」
「それは何ですか?」
横にいるロロアが、彼女の前にいるルヴォルフに完全にもたれ掛かりながら問う。
周囲の住民は彼らから一線を置いており、それで出来たスペースで最大限広がっている。
そのなかで、恋和は答える。
「簡単に言うと、相手が言ったことに対してこちらは反対の言葉を言うのよ」
「理解出来ません」
はっきりと告げるが、それを恥とは恋和は思わない。
下手に知った被りしている方が恥だと感じ、解ろうとすることは関心に値する。
横の彼女を見ながら、
「解りやすいのは告白かしらね」
「告白?」
「セーランの告白を例えにすると、告白のときセーランが宇天の長に好きだって言ったけど、宇天の長は嫌いだって言ったわよね? そうすると、セーランは好きだけどあちらは嫌い。好きの反対は嫌いだから、反対の言葉を言うと先に言った言葉の意味を無効果するのよ。
だから結婚するには片方ではなく、双方の愛が必要でしょ?」
「おお、解りやすい説明有り難う御座います。結婚の例えで理解出来ました」
「恋和さんて色々なこと知ってますよねえ。本当不思議です」
「まあ、日来に来るまでは色々とありましたからねえ」
美兎の言葉に恋和は照れながらも、会議の様子を伺う。
言葉が流れ、身振り手振り体を動かしている。
声は叫ぶのではなく、訴えかけるような問い掛けに近い感じ。言葉は目の前の相手に、しかし会議を見ている者にも向けられている。
彼らは今、日来を導こうと言葉を紡いだ。
●
葉木原は目の前にいる覇王会に向かって、そ
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