第一物語・後半-日来独立編-
第十八章 無意味な会議《1》
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枠が設けられ、社交院の枠のなかにその言葉が表示される。
聞き、飛豊はすぐに、
「覇王会側の立場は日来の独立宣言をそのままに、本格的に独立体制に入る」
「ふむ、つまりお前達は世界を敵に回すの言うのだな」
独立とは神州瑞穂からではないことを彼方は知っているだろう。意図的な解釈の違いだ。
あちらはこちらを試している。
甘く見られたものだ、と飛豊は思う。
「それは間違いだ。日来が独立するのは奥州四圏からだ」
「どういうことだ?」
それを理解している上で、こちらに問い掛けている。
こちらの真意を探る為なのだろう。
「日来は奥州四圏から実質的な支配を受けている。覇王会が言う独立とは、その支配からの脱退だ」
「だが、それは日来がアマテラス系加護を使用しているためだ。確かに日来は奥州四圏から実質的な支配を受けているが、その代わり日来の警護や貿易相手になり日来を安泰へと導いているが?」
「だが今ではあちらは日来を捨て、他勢力群|《イレギュラー》所属の調と日来を取り合えようとしている。既に日来は見捨てられたと言っていいだろう」
「ならば加護を変えればいいだけの話だな。アマテラス系加護は唯一、流魔を生成出来る加護だ。これにより他国からも警戒されている、つまりはこの加護が無ければ奥州四圏も日来を支配する意味が無くなる」
「だが武装関係で劣る日来はどちらにしろ奥州四圏には利益にならないだろう」
「食糧生産量はいい武器になると思うが?」
「攻めこまれたら防衛のための武装が無い日来は容易く落ちるだろう。いくら生産量が高くとも、被害を受けてしまってはどうにもならない」
飛豊と葉木原の言葉のやり取りが、流れるように飛び交う。
昼前の風は冷たく、彼らを吹き抜ける。
まだどちらが有利とはなってはいないが、経験の違いで社交院側がいい波に乗っているように思える。
住民は口を開かず、それをただ見ていた。
そのとき、深い息を吐く音を聞いた。
葉木原が出した音だ。
「武装もろくに無く、アマテラス系加護のせいで他国に狙われる。こんな日来でどう奥州四圏からの支配から脱退しようというのだ。本格的に独立したならば敵と見なされ、被害が広まるだけだと思うが?」
「なら奥州四圏の言いなりになり、他勢力群へと移住すると言うのですか?」
「被害が広まるよりはいいだろう。それに奥州四圏は、住民は必ずしも日来と運命を共にしろとは言っていない。日来の移住に不安があるのならば、他勢力群ではない他へと移住も出来る。
お前達が住民に言っていることは、先行きの見えない日来と運命を共にしろ、だ。さすがにそれは治安を担当する学勢院の代表、覇王会でも言い過ぎではないのか?」
「それはおかしいよね」
飛豊が言ったのではない。覇王会戦術師のレヴァーシンクだ。
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