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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
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ん、韜晦しやがって。参謀の身にもなってみろ」
「いずれ精神的にお返ししますよ」
「大いに足りんね。ちょっと河岸かえようか。摂津も来い」
そして柳田は二人を連れ出して屋上へと向かった。
「いいか伊丹に摂津。この世界――特地は宝の山だ」
柳田はそう言って再び煙草に火を付ける。
「汚れのない手つかずの自然、そして何より世界経済をひっくり返しかねない膨大な地下資源、文明格差は中世と現代並、そんな世界との唯一の接点が日本に開いた。……なぁ伊丹、摂津。三宅坂や海軍省の連中は知りたがっているんだ。アメリカは兎も角、中露……世界の半分を敵に回す価値が特地(此処)にあるのかをな……」
「その価値があったら?」
「分かるだろ? 世界では持っている者が勝者だ」
「……柳田さん、あんたが愛国者だってのは分かった。俺も軍人だから全力は尽くす。だけどピンと来ないんだよ。連れてきた子どもと世界情勢の関わりが」
伊丹は柳田にそう言った。
「お前らは連中と信頼関係を築いてきた」
「ハ?」
柳田の言葉に伊丹は驚く。
「まさか子どもに聞けっての? 金銀財宝がどこにあるかって?」
「知ってる人間を探して情報を得られるだろう? 特に摂津、お前はヒルデガルドさんと仲良く話している」
「コミュニケーションの一環ですよ」
「まぁあんな出逢いじゃあな」
柳田と伊丹は笑う。樹はまたかと思う。
「伊丹、あんたには近日中に大幅な自由行動が許可される。勿論それはお前の第三偵察隊だ。行動するのはいい、だがな最終目的は一つだ、それを覚えておけよ」
「たまらんね。柳田さん、あんたはセコいよ」
伊丹はそう反論するが柳田は笑う。
「そういう仕事だ。今までのんびりしてた分は働いてもらうぜ」
柳田はそう言って屋上を後にした。
「……ま、今は避難民の飯と寝床ですな」
「そうだねぇ」
伊丹はそう呟いた。
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