狂宴のとき……前
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の結果は、僕は五匹目で網が破れ、切嗣は一匹目で穴が空いていた。
「昔から、こういう精密な作業は苦手でね」
苦笑いするように呟く。
「良いんじゃ無いの?お祭りは雰囲気を楽しむものだから」
「ふふ、そうだったね」
そう言うと、切嗣は腰を上げ辺りを見回した。
「……て、守ろ……ものか」
「え、何て言ったの?」
呟くように、小さな声で囁いた切嗣の声。何か大切な物のような気がして聞き返してしまった。
でも、切嗣は柔らかく笑って何も答えてくれなかった。
ただ、目尻に微かに浮かんだ涙が、妙に印象に残った。
そこからは遊び倒した。射的、当てくじ、ヨーヨーすくい……気が付けば、二人ともへとへとになっていた。
「凄く楽しかったね」
「そうだね……あぁ、遊び疲れるなんて何年ぶりだろうか」
そっと切嗣の顔を覗き込む。それは遊び疲れた子供のようなひとみだった。
「……今日はもう、帰ろうか」
カーニバルは二日間続く。ヨーロッパではかなり短い部類に入るけど……その分密度はかなり濃い。
「そうだね……今日はもう帰ろっか」
告げると、どちらからともなく手を繋ぎ家路を辿っていった。
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