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最期の祈り(Fate/Zero)
狂宴のとき……前
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しまうか」
「予習?」
「うん。僕が学園に入ることになったのは急な事だったからね。まだあの分厚い本を読み終えてないんだ」
そうなんだ。じゃあ
「僕も手伝うよ。僕はあの本も読み終えてるし、その他の細々した知識もあるから、ある程度教えられるよ」
うん、考えれば考える程そっちのが良いように思えてくる。
「それに……絶対に切嗣と行きたいし」
――――――――――――――――――――――――
恐らくあの一言が決定打だったのだろう。それから1週間、僕は切嗣の勉強に付き合った。切嗣の呑み込みも凄まじかったので、大体全ての学習事項が5日で終わってしまった。後は軽い復習をし、今日この日を迎える。……そう言えば
「カーニバルに来るの……久しぶりだ」
思わず呟いてしまう。小さな頃は母さんとよく行ったっけ。小さな村で行われる慎ましやかなものだったし、もう大分忘れてしまったけど……それでも、こうして手を繋いだ記憶だけはちゃんとある。
思い出した瞬間、寒気に襲われる。また、繋いだ手が消えてしまうのでは無いか?無性に怖くなり、更に切嗣の腕にしがみつく。
「大丈夫だから」
上から声が聞こえた。
「そう簡単に居なくならないから……」
相手を落ち着かせるように、体に染み込むような声で慰めてくる。
「……本当?」
「ああ、約束するよ」
見上げた顔は……笑みに溢れていた。
「さあ、行こうか。この日の為にシャルロットにも勉強に付き合ってもらったのだし」
「うん!」
何となく、さっきまでの寒さは消えていた。
…………
「切嗣はお祭りに来るのは始めてなの?」
さっきから物珍しそうに、頻りに辺りを見回している。
「小さい頃に、一回だけ父さんに連れてこられたきりだからね…………事実上、初めてと言っても良いかもしれない」
「……そうなんだ」
小さい頃に一回きり……つまり、その時以降一緒に来られない「何か」があったのだろう。

屋台の光が切嗣の手を照らす。握っている手が、何だか血に濡れているように見えた。
「最初は……あれをやってみようか」
光を振り払うように手を上げた先には……子供達が沢山いる。屋台には「金魚すくい」と書かれていた。
「あれは……何て書いてあるの?」
「金魚すくいって書いてあるね。破れやすい紙の網で、金魚をすくうっていうゲーム」
「何か面白そうだね」
そう言うと、引っ張るように金魚すくいの屋台に向かっていった。……その時気付いたけど、お店の人全員ハッピを着ている。フランス人がそれを着るのは……お世辞にも似合っているとは言い難かったけれども、皆楽しそうだった。切嗣に言ってみたとこれ、それで正解と返された。
「祭りは、その場の空気をいかに楽しむかだからね」
最も父の受けおりだけど、と付け加えていたけど。
……
金魚すくい
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