無印編
第十一話 裏 (なのは)
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いる彼らの中から暴走体のみを拘束できる自信がなのはにはなかった。せめて止まってくれれば……。そう思っていたなのはに機会が訪れた。
兄の刀が煌いた瞬間に暴走体が吹き飛んだのだ。しかも、それなりのダメージを負っており、すぐに動けるような状態ではなかった。
この機会を逃すほどなのはは惚けていない。たとえ、すぐさま傷が癒えようが、背中から翼が生えようが、なのはが拘束することにまったく問題はなかった。
レイジングハート、となのはが願うだけで、暴走体は地面から生えた桃色の帯に拘束された。魔法の種類で言えば、バインドという魔法の類であることをレイジングハートが教えてくれた。
そして、すぅとレイジングハートを地面と平行に構える。ここから、あれを封印するためにはそれが正しいとなのはは感覚で分かっていた。レイジングハートがなのはが望むように形を変える。いうなればカノンモード。射撃に適した形だ。
先端の宝石部になのはから無尽蔵に供給される魔力が集う。その光を見てなのはは笑う。その輝きこそが、なのはの強さを示しているから。兄や姉すら適わなかったあの暴走体を屠る魔法の力が、確かにそこに集っていることを感じ取られるからだ。
「貫いてっ!!」
なのはの叫びと共に桃色の光が暴走体を貫き、なのはの魔法の言葉と共にジュエルシードは封印された。
「えへへ、やったよ、ショウくんっ!」
思わずガッツポーズ。あれほど押していた兄や姉さえも適わなかった暴走体を封印したのだから、きっと昨夜のように翔太は賞賛の声を掛けてくれると思ったから。そして、なのはの望みは適う。昔は遠くから見ているしかなかった、皆へ向ける笑みを浮かべて翔太は賞賛の声をなのはにくれた。
「うん、さすがだね。やっぱり、なのはちゃんはすごいな」
その言葉で、なのはは笑みがこぼれるのを止めることができなかった。
◇ ◇ ◇
「あ、ちょっと待って」
帰り道、別れ際に翔太がなのはを呼び止める。彼は、肩にユーノを乗せてポケットに手を突っ込んで何かを探しているようだった。やがて、取り出したのは、手の平サイズの黒い薄い箱のようなもの。一般的にいうなれば、携帯電話だ。
「なのはちゃん、携帯持ってる?」
うん、と頷く。
「よかった。昨日、連絡しようと思ったら、僕、なのはちゃんの携帯知らないことに気づいたからね。だから―――」
ドクン、と心臓が高鳴った。その後に続きそうな言葉に予想がついたから。それは、携帯という道具を手に入れて以来、なのはが望みながらも、一度も言われたことない言葉。その言葉を言ってくれるような友達を熱望して、切望して、渇望したなのはがようやく手にした友人、蔵元翔太。彼からすぐにそんなが言葉
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