無印編
第十一話 裏 (なのは)
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れたことで頭が一杯で聞いていなかった。―――と何かを話している。どうやら、今後の方針を決めているようだった。ジュエルシードという危険物を集めるか否か。なのはにとってはどっちでもいい話だった。
昨夜、助けたのも翔太でさえ適わなかった力を手に入れることで何かが変わるかも、と思ったからだ。現になのはは魔法の力を手に入れて、翔太と友達になれた。それだけで満足だったのだから。これから先は、一年生の頃に友達ができたらやってみたいことを翔太と一緒にやっていければいいな、と思うぐらいだった。
だが、翔太はなのはに選択を迫った。
「どうしようか? なのはちゃん」
「ふぇ? わ、私?」
寝耳に水だ。どうして、私が決めなくちゃいけないんだろう、と思った。
「え……ショ、ショウくんが決めてよ」
そう、翔太が決めればいいのだ。それになのはは、絶対に従うのだから。そもそも、なのはは恐れていた。翔太の意に沿わない意見を言って、嫌われてしまうことが。表面に出さなくても、心の中で僅かに思われるのも嫌だった。せっかくできた友達なのに、こんな下らない選択肢で嫌われるのが嫌だった。だから、選択権を翔太にゆだねるつもりだった。この方法なら少なくとも、翔太に嫌われることはないから。
だが、翔太は首を横に振る。
「ダメだよ。これからのことはなのはちゃんが主役なんだ。脇役の僕が決めていいことじゃない」
この言葉になのはは、驚いた。
今まで、なのはは、主役などになったことはない。主役どころか脇役にすら、いや、下手をすると舞台にすら上がったことがないのかもしれない。何かあれば、他人に流され、自分の意見を言うことなく、ただ隅で目立たないように存在しているだけ。もっとも、誰かに認識されることで存在を定義されるというのなら、認識すらされていなかったのだから、舞台にすら立っていなかったということになるのだろう。
だが、翔太はなのはに君が主役だ、と告げた。その真意はどこにあるのか分からない。だが、なのはが読み取る限りでは、翔太がなのはを騙してどうこうという話ではなさそうだ。本当に翔太は、なのはが主役と思っているのだ。
しかし、たとえ、そうだとしても、それはなのはが主役になったのではない。それは、翔太がなのはを主役に引っ張り上げてくれたのだ。もし、赤の他人に君が主役だ、などといわれてもなのはは信じることはなかった。
友達になろうといってくれた翔太だから。憧れだった蔵元翔太だから、なのはは翔太の言葉を信じられた。
「……本当に私が決めるの?」
最後の確認。だが、それでも翔太は首を縦に振る。なら、なら、もしかしたら自分が決めてもいいのかもしれない。
それは、生まれてこの方、ずっと嫌われないように他人の
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