第三話
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の川銀河に見えて仕方なく、彼は自分が今居るこの世界が前世の世界と繋がっているのではないか、そんな思いに囚われていた。
彼の記憶の中の天の川銀河の特徴的なオリオン腕の位置。天の川銀河の伴銀河である大マゼラン・小マゼラン雲の位置。そして離れたアンドロメダ銀河の位置が一致していた。
無論とても薄い根拠だった。もしこの宇宙のどこかに地球が存在するとしても、地球から観測可能な範囲に1700億個以上の銀河が有ると言われている。その程度の特徴なら偶然の一致は幾らでもありえるだろう。
更には彼が地球人として死んだ時とフルント人として生まれ変わった時に、数万年程度のならともかく数千万年単位の大きな隔たりがあれば位置関係など全く変わってしまう──天の川銀河において恒星系は、バルジや渦状腕の外縁部などに位置するものを除けば、ほぼ210 - 240km/sで、銀河中心部を中心とした公転軌道を巡り、太陽系は約2億2500万から2億5000万年で天の川銀河を1周する。また大小マゼラン雲のような伴銀河も天の川銀河を中心とした公転軌道を巡る──ために根拠と呼ぶにもおこがましい状況だった。
それでもエルシャンは、その考えに縋りたかった。30年間も田沢真治として生きて来たのだ、たった一度の事故で命のみならず、家族や友人を奪われて簡単に諦められるものではなかった。もう田沢真治として彼らの元へ戻る事は出来ない。今の姿で彼らと会いたいとも思わない。だが、せめて彼らが同じ宇宙に生きていることを実感したい。そう思うのも仕方の無いことだった。たとえ彼に妻や恋人が居なかったとしても……
しかし子供のエルシャンが触れられる情報など限られた極僅かなもので、情報収集は遅々として進まなかった。
それでも様々な情報に触れる事が出来て、フルント星の文明が地球より遙かに進んでいる事を知った。何せ進みすぎていて地球の技術の進歩の延長線上にあるかどうかすら彼には判断がつかなかった。
再び時は流れて、本人の努力もあって2歳になる頃にはテレビの報道番組──情報端末を使用させて欲しいという彼の懇願は未だ受け入れられてはいなかった──の内容も問題なく理解できる語彙を身につける事が出来て、自分を取り巻く世界の状況が次第に分かってきた。
自分や家族が住む星が、恒星イルヌの第2惑星でフルントと呼ばれていて、自分達が対外的にはフルント人と呼ばれていること。そして地球人も人種や民族に分かれていたように
自分達がシルバ族と呼ばれる種族であること。基本的にフルント人は純血主義で他の種族と血が混じる事を嫌い。混じった者は雑種として低く扱う習慣があること。
そして大事なことは、フルント星を含めてこの銀河の星間文明国家が、【敵性体】と呼ばれる侵略者と500年間もの長い戦争状態にあり、シルバ族を含めてフルント人は
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