43:知るかよ
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る俺から、完全に意表をつけるプレイヤーはほとんどいない筈なのだ。加えてデイドのような、俺よりもレベルが下のプレイヤーにそれを許してしまうなど……
「あン時の調べが甘かったな、キリト」
デイドはニヤリと笑って俺の思考を遮り、ウィンドウを弄り始めた。
「取調べの時、オレはテメーらにステータスを見せなかったんだぜ? なのにテメーらはその後のオレの戦闘を見て、ただの後方火力支援型のランサーだとタカを括った。だが、オレの本当のビルドはな……待ち伏せから蛇矛の長いリーチで、確実な不意討ちと毒での一方的な追い討ちを得意とする奇襲型ビルドだったんだよ!」
そして一つのウィンドウが俺にも可視設定で表示される。それを見た俺は息を呑んだ。
デイドの《隠蔽》スキルは、俺の《索敵》スキルと比肩するほどに特化された数値だったのだ。
「それに加え、オレ特製の隠蔽スキルを一定時間向上してくれるポーションも使えば、テメーにすら感知できない環境の完成――」
「なぜだ!?」
「……あ?」
俺は叫び、デイドの言葉を遮った。
「身を隠してたって事は、ユミルの過去と俺達の一部始終を見ていたんだよな……? なのに、どうしてベリーを殺したんだ!?」
「どうしてって…………ハッ」
一瞬不思議そうな顔をしたデイドは、すぐに俺を鼻で笑った。
「知るかよ」
そして言った言葉は、とても簡潔だった。
「オレは言ったはずだぜ!? 目的のためならば、手段は選ばねーってなァ! それになんだ? テメーはそこのガキを……」
デイドはチラリと、背後で呆然と立ち尽くしているユミルを親指で指した。
「あの《死神》を……正真正銘のオレンジプレイヤーの肩を持つのか? 犯罪者だぞ!? 逆にオレが問いたいぜ! なんでテメーら程のヤツらがオレンジの味方なんてしてるのかってな!」
「貴様っ……!」
俺が背の剣に手をかけると、それにデイドは再び鼻で笑った。
「殺すのかよ? テメーに出来るのか、キリト? 出来ねーよなぁ? だって殺しちまったら、ガキの言った『傷付けあって生きている』とか言ってたことに賛同することになっちまうもんなァ?」
「く、そっ……!!」
俺が鞘から剣を引き抜けない姿に満足したのか、デイドは踵を返す。
「……さて、オレはそろそろアイテムを回収して退散するとするぜ。となれば――」
「あ……あ、あ……」
「あ?」
ユミルが小さく喘ぎ始め、その声にデイドが今更の事のように振り向く。
「…………あァ、そうだなァ……」
そして何を思ったか、デイドはユミルの前へと歩み寄った。ユミルはそれに微塵も反応せず、ベリーの足が散った地点から
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