43:知るかよ
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震わせながら、遠ざかりつつある使い魔に、か細い声を上げて見届けている。
ベリーはまっすぐと俺を目指し、ユミルに見せ付けるように蹄を進めていく。
それは近付けば近づくほど、穢れない姿だと思わされる。鬣から立ち込める薄く青いオーロラが本当に神秘的だ。
そしてベリーは俺の目の前で歩を止め、俺をどこまでも無垢な目で見つめる。
「ベリー……さっきは、斬りかかってゴメンな」
俺も、しっかりと見つめ返す。
「……さぁ、ベリー。俺達で、お前の主人に証明してやろうぜ。――そうして……この事件を、終わらせよう」
そう言い、手をその頭に伸ばす。
それに、もうユミルは何も言わなかった。
そして。
――――――俺の視界が、濃緑と深紅に染まった。
「「…………え?」」
俺とユミルは同時に声を上げる。
それは一瞬の事だった。すぐに視界が元の夜の森に戻る。
しかし、俺の目の前、視界の正面に、ベリーは居なかった。
ベリーは……オーロラのような霧を撒き散らしながら、宙を吹き飛んでいた。
……そのHPをも散らせながら。
「な――」
ベリーの代わりに、俺の目の前には……途轍もなく長い、蛇のような槍が、横の草むらからまっすぐ水平に視界を横切っていた。
死角から飛び出してきたその槍が、ベリーを薙ぎ払っていた。
ベリーは大きく吹き飛び、反対側の草むらの奥にドサリと落ち、見えなくなる。
その代わりに――
「…………ベリー……?」
ユミルの目の前に、ボテボテッ、と生々しい音を立てながら、何かが転がった。
…………ベリーの、切断された後ろ足だった。
それは数秒の内に瞬く間に、バァンという効果音と共に、ポリゴンとなって消えた。
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「――――――――」
それを見届けた、ユミルの見開かれた目から……一瞬で光が失われた。
それと同時に。
「――――ふぅーう……っと。一度逃げられた時は冷や汗かいたが……やっと仕留められたぜ」
と、横の草むらからガサガサと姿を現したのは、
「お前は、デイド……!?」
デイドはその長い長い槍をヒュヒュッと軽快に持ち上げ、それを肩に担いだ。
「……悪ィな、パーティは事前に抜けさせてもらったぜ。よってこの手柄は、オレだけのモンだ」
「なんで、お前……俺の《索敵》スキルを……」
混乱する頭で、俺はまず最初に疑問に思ったことを口にしていた。
俺はさっきまでも不測の事態に備えて、辺りを索敵スキルを駆使して気を怠ることなく張っていた。さらに俺は、索敵スキルをカンスト目前になるまで鍛えているのだ。よって現状、仮にもトッププレイヤーの一員であ
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