43:知るかよ
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なんて弱いんだっ……ボクは死神で居続けたいだけなのにっ!!」
その瞳の憎悪が、増していく。歯が、喰いしばられていく。
「キ、キミ――お……お前達さえ、いなければっ……! ボクは、ボク達はこんなことにはァっ……!!」
そして手を離していた大鎌を握り、大きく振り上げる。
「…………消えろっ……消えろっ……!」
憎悪に低くなった声で呟き、そして……
「お前達なんてっ、みんな……――みんな消えてしまえばいいんだアアアアッッ!!」
そう怨嗟の声で叫びながら、鎌を掲げて襲い掛かってきた。
が……その進撃は、数歩進んだだけで止まっていた。
ユミルの目の前に……背後にいたはずのミストユニコーンが割り込んでいた。
「な――……なん、で……」
ユミルは鎌を掲げたまま、足元の仔馬を信じられないかのように見ている。
ユニコーンは少しの間ユミルを見上げた後……振り向き、正面数メートル先にいる俺の目を、まっすぐと見つめてきた。
「ベ……ベリー……?」
ベリー。それがあのミストユニコーンの名前なのであろう。
その名に相応しい、クランベリー等の果実にそっくりな赤く丸い目の白馬は……こちらに、ゆっくりと歩み寄り始めた。
「ベリー、なにをっ……」
ユミルは鎌を降ろし、驚愕の目で手を伸ばすが……
その時、ベリーがユミルへと再び首で振り向き、軽く首を横に振った。
「ま、待って……そいつらに近寄っちゃ、ダメッ……」
それでもユミルはそう声をかけるが……恐らくはシステム的なボイス指令に入っているであろうその主人の言葉にもハッキリと否定の意を示し、こちらに歩み続ける。
……その時俺は、ベリーの行動の真意を直感した。ベリーがユミルと俺に、何を求めているのかを理解した。
「待て、ユミル」
「え……?」
俺は言葉で、彼の伸ばす手を遮った。
「……ベリーは今、お前に……人は信じられるのだと、自分の身で証明しようとしているんだ」
「なっ……」
今度こそ驚愕にその目が見開かれる。
「今のベリーの誠意を、お前が邪魔しちゃ駄目だ」
「そ、そんなの信じられるわけが――」
「信じろ」
俺は即座に言い返した。
「俺じゃなく……ベリーを信じるんだ。それとも今のお前は、そのベリーすらも信じられなくなっているのか?」
「……それは……」
俺は剣を鞘に収めた。そして膝を着き、ベリーを待つ。
「まだ俺達を信じなんてなくていい。けど、今から俺とベリーが……お前に証明してやる。俺達は信じあえるんだ、ってな」
「……あ、あぁぁっ……」
ユミルは伸ばしかけのまま止まった手を
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