43:知るかよ
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…
……
…………
「――――これでもっ、キミ達は人を信じれるって言えるのッッ!?」
ユミルの口からついに語られた、その余りに凄惨な過去。
それを聞いた俺は……
「……………」
なにも……なにも、言葉を紡ぐ事が出来なかった。
「キミ達に分かるッ!? 生まれてずっと信じてきたものが、こんなむごい形で裏切られる気持ちが! 一番大切なものが……目の前で、他人に笑顔で無惨に殺される気持ちが!!」
俺の後方では、アスナも両手で口を隠しながら真っ青な顔で絶句し……
ダムッ、という音が聞こえたかと思えば、リズベットが「どうして、こんな非道いことがっ……!」と、行き場の無い感情に対して心底悔しそうに額を地面に叩きつけていた。その肩は涙を堪える様に震えていた。
シリカもユミルの話の途中から「もう、やめて……」と首を振りながら抱き締めるピナの胸の中に顔を潜り込ませ、終始、涙ながらにその過去の話に苦悩を馳せていた。
俺達全員が、その小さな口から飛び出してきた筆舌に尽くし難く酷い過去に、何も言えないでいた。
「あいつらがルビーの遺したアイテムを醜く取り合っていたのも、そして挙句にラフコフに殺された事も!」
ユミルはその過去が語り終わっても、未だ俺達に叫び続ける。
「人は愚かに絶えず争っている! この世界でも、現実でもだ! いじめもPKも生活もレベルも! 突き詰めていけば、人の世は何もかもが互いを貶めあい、傷つけあう争いの毎日だ! もう……人は、傷つき傷つけあう為に生きているんだと、認めざるを得ない!!」
そして、再びその真理の如き言葉を吐き出す。
「人なんて、愚かで弱いっ! …………それは、ボクだって……今でもそうだ……!」
ユミルは自分の胸をギュッと鷲掴む。
「あの時こそ……今度こそ、本当にボクの心は完全に死んで、冷え切ったと思ってた……。もう二度と、人なんて信じることはありえないと……そう確信していたのにっ! またボクの心は、キミ達なんかに揺らいでるっ……! いつの間にかマーブルに半年間、知らず知らず心を温められて……そして知らず知らずキミ達と会話を交わしてしまうくらいになっていた……! そしてキミ達に、心の氷を溶かされていた……!」
その瞳は純真さと憎悪の相容れぬ二つが交じり合い、今にも砕け散ってしまいそうな、余りに脆い眼差し。
「ルビーを亡くしておいて……人に裏切られておいて! もうボクは、キミ達なんかと一緒に居たいと思ってしまってた! マーブルに受け止められた時、シリカにボクの事を信じてると言われた時、救われたと思ってしまってた! キミ達が作ったあの料理を食べた時、心を開いて全てを吐き出してしまいたいと思ってしまってた!! ……人は、
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