第77話 新たな家族の為に
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絶対に無理だから………』
「いや救える、俺なら!!」
俺は彼女の目を離さない。
『………何でそこまで………何で!!』
「俺は家族の為なら不可能な事なんてないからさ」
俺は目を離さず、自信満々に言い切る。
『………そこまで言うなら良いわ。奇跡を起こしてみせなさいよ!だけど、奇跡が起きなくて、彼女が苦しい思いをして消える事になったら私は一生許さないわよ!!』
そう言って何やら操作し始めた。
するとディスプレイに地図が写し出された。
『そこにユーリが居るわ』
「ありがとうクアットロ」
俺はお礼を言って、ユーリの所に向かって走り始めた。
「これでよかったんです………」
消えかかってる右手を見ながらユーリが呟く。
「最後にレイに会えましたし、僅かだったけれど楽しい時間も過ごせた………」
周りには何も無い。質素な壁に囲まれた一室。
その中心にユーリが静かにそこにいた。
「私は幸せでした………宵の書に蝕まれていたのを助けられ、みんなと楽しい時間も過ごせた。そして何よりレイの優しく、温かい心に触れられた………」
そう呟いていると今度は左手が消え始めた。
「ありがとう………そしてごめんなさい………皆さんさようなら………」
目を瞑り、消えるのを待っていると………
「………それが本当にお前の気持ちか?」
「えっ!?」
不意に声が聞こえた。
声のする方を見ると、肩で息をしている零治がそこに居た………
「何がごめんなさいだ!何がさようならだ!俺達がどれだけ苦労したと思ってる!!」
「レイ!?なぜここに………」
『ごめんなさい、感づいたので私が教えましたわ………』
「クアットロ………そうですか………まあ別に構わないです………」
ユーリを見ると両腕が透けてきている。
「ユーリ!?お前………」
「見られたく無かった………消える時くらい静かに消えようと思ったのに………」
顔が下を向いているためどんな顔をしているのかよく見えない。
だけど肩が震えているのが分かる。
「お前………」
「何で!!何で私の所に来たんですか!!何で一人にしてくれないんですか!!私は覚悟を決めてたのに………!!」
そう言った顔には涙が流れていた………
「ユーリ………」
「帰って下さい!!私を一人に………」
俺は言い切る前にユーリを抱きしめた。
「………離して……下さい………」
「嫌だね、こんな馬鹿な奴を放っておく訳にはいかないだろうが………」
「馬鹿………じゃ無いです………」
そう言いながらユーリも消えか
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