無印編
第十一話 後
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たのは、飛び掛るなんてことではなかった。
バサッ、と何かが広がるような音が響く。
暴走体の背中から蝙蝠のような翼が生えて、翼を広げたときの音だった。
「どういうこと!?」
「恭也さんたちに適わないとみて進化したんだ。取り付いた生命体の願いが強くなりたい、なら、恭也さんという強敵が現れたから、それに対抗したんだ」
なんてことだろう。恭也さんたちが魔法を使えずとも戦えることが裏目に出てしまった。
「なのはちゃんっ!!」
このままだと、恭也さんたちが上空から襲われると思い、なのはちゃんの参戦を願ったのだが、僕が声をかけずともなのはちゃんはそのつもりだったらしい。既に昨夜、見た聖祥大付属小の制服によく似た衣服に身を包み、左手に赤い宝石がついた杖を持っていた。
なのはちゃんが暴走体を見据えて、手をかざす。それだけで、せっかく翼を生やした暴走体は、その進化の成果を見せることはできなくなってしまった。
――――GRAAAAAAAAAAAAAAA
地面から生えてきた桃色の帯に締め付けられてしまった暴走体は、その桃色の帯から抜け出そうと雄たけびを上げながら、身を揺するが、よほど強く縛られているのだろう。その場から動くこともできない。翼もその場でばたばたと動くだけで、その四肢を地面から離す事もできないようだった。
すぅ、となのはちゃんがスナイパーのように杖を構える。
「レイジングハート」
静かに赤い宝石の名前を告げ、レイジングハートは静かに呼びかけに応えるようにAll rightと返す。
変化は直後に訪れた。杖の先端が分解され、変形し、杖の先端部より少し下から桃色の翼が三つでてくる。赤い宝石の先端に桃色の球体が現れ、キューンと魔力をチャージしているような感覚に襲われる。
「これは……まさか砲撃魔法!? 僕も使えないのに」
呆然としたようなユーノくんの声が僕の耳に響く。
どうやらなのはちゃんが行おうとしている魔法は、砲撃魔法という類の魔法らしい。確かにレイジングハートは銃のような形になっているような気もする。
ユーノくんすら使えない魔法を使えるなのはちゃんに驚きだ。つまり、それは魔法機器であるレイジングハートを完全になのはちゃんが使いこなし、魔法というものを使いこなしていることを意味している。しかも、教師もなしに。昨夜と今日の短時間で、ユーノくんが驚くほどに魔法というものを理解しているなのはちゃんは、やはりこの分野では天才なのだろう。
僕とユーノくんが驚嘆でなのはちゃんの魔法を見ていたが、やがてなのはちゃんが集中するように瞑っていた目を開いた。
「貫いてっ!!」
その叫びの直後、桃色の一条の光が暴走体を貫く。その光に包まれた暴走体
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