無印編
第十一話 後
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突撃、近接戦闘を繰り広げ始めた。
生憎ながら、素人である僕では、一体なにが起きているか分からない。せいぜい、小太刀を振るいながら、暴走体の爪や牙などの攻撃を避けていることぐらいしか分からない。
そして、冒頭の感嘆の声に繋がる。
「確かにすごい……でも、このままじゃダメだ」
僕の呟きを聞いていたのか、僕の肩に乗ったままのユーノくんが深刻そうな声で言う。
「え? ダメなの?」
僕の目には、恭也さんや美由希さんが押しているようにしか見えない。
現に、暴走体は、円を描くようにある一定の範囲から動いていない。それは、恭也さんや美由希さんが上手いこと死角をとって小太刀を振るい、暴走体はそれを追いかけるからだ。
時折、消えたとしか思えないほど高速で動いているような気がする。うっすらと覚えている内容だと、彼らの剣術の中には、高速移動に近い技があったはずだから、おそらくそれだろう。
どちらにしても、ダメージが一方的に蓄積されているのは暴走体で、恭也さんたちは傷一つ負っていない。まさに恭也さんと美由希さんのワンサイドゲームと言っても過言ではないような展開なのだが、ユーノくんからみると拙いらしい。
「うん、あの暴走体、確かに恭也さんたちの攻撃で、傷を受けてるけど……すぐに回復している」
確かによくよく見てみると暴走体は刀で斬られているにも関わらず、血が流れておらず、傷口というものが存在していないように見える。つまり、斬った直後に回復しているということだろうか。
暴走体は傷を負わないが、逆に恭也さんたちに傷を与えることはできない。恭也さんたちは、傷を受けないが、傷を与えられない。なるほど、暴走体を手玉にとってはいるが、倒す術がない以上、千日手に近い。
「やっぱり魔力ダメージがないとジュエルシードは封印できない」
そんなユーノくんの呟きが聞こえたのか、恭也さんが一気に勝負に出た。鞘から抜いていた二本の小太刀を鞘に一度戻し、直後、白銀の光が煌いたかと思うと、小太刀を納めた恭也さんを仕留めるチャンスとでも思って襲い掛かってきていた暴走体を一気に五メートルほど吹っ飛ばした。
もう、何がなんだか分からなかった。とりあえず、気づいたら暴走体が吹っ飛んでいた。
よほどの威力だったのだろう。今まで傷が瞬時に回復していた暴走体が血を流しながら地面に伏している。
これは……チャンスか?
そう思っていたのだが、それも一瞬だった。伏していた暴走体が、すぐさま起き上がり、瞬時に血を流していた傷を回復。グルルルルと唸った直後、前足に力を入れているのが伺えた。
まさか、飛び込んでくるため? と恭也さんたちも思ったのだろう。小太刀を構える。だが、それはある意味的外れな対抗だった。暴走体が考えてい
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