無印編
第十一話 後
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にもよるだろうが。
「本当に俺たちにも魔力がないか試してくれないかい?」
それは、親としての最後の悪あがきなのだろうか。いや、万が一の可能性にかけているのだろう。
もっとも、先日のユーノくんの呼びかけに答えていない段階で、彼らに魔力がないことは明白なのだが。だが、自分の娘が首を突っ込むともなれば、それでも諦めきれないのが親心なのだろう。
だから、僕は、ユーノくんにそっと目配せをした。つまり、試してみようということだ。
彼は、僕の意を汲んだようにコクリと頷くと目を瞑って意識を集中させていた。
―――聞こえますか。ユーノ・スクライアです。―――
僕の頭の中に聞こえるユーノくんの声。相変わらず、鼓膜を震わせることなく声が聞こえるというのは変な感覚がするものだ。
「どうですか? 何か聞こえましたか?」
高町家の面々が顔を見合わせるが、誰もが首を横に振る。やはり、誰にも聞こえなかったらしい。
「なのはには聞こえたのか?」
なのはちゃんの顔を覗き込むように彼女のお父さんが、なのはちゃんに尋ね、彼女はそれにコクリと頷いた。
その反応を見て、ふぅとため息をつくなのはちゃんのお父さん。
「ユーノくんだったかな? そのジュエルシードの暴走体とやらを封印するのは魔法じゃないと無理なのかい?」
「はい、あれは魔法の産物です。最終的に、封印するには魔法が必要となります」
「でも、封印する前の段階だったら物理攻撃は効くはずだよね」
え? という表情をする高町家の面々とユーノくん。
公園での質問で僕は既に確認していた。すなわち、ジュエルシードの暴走体について物理攻撃が効くかどうか。あの時は、ここまでのことは考えていなかった。僕たちの手に負えなくなったら警察でも何にでも駆け込んで銃等でなんとかできないか、と考えていた程度だったのだから。
まさか、こんなところで役に立つとは。
「う、うん。最終的に封印はできないかもしれないけど、効くか効かないかって言われると……」
「つまり、物理攻撃である程度弱らせて、最後に魔法で封印なんてこともできるんだよね?」
か、可能か不可能かで言えば、可能かもしれない、とユーノくんは自信なさげに呟くように言う。
もしかしたら、ユーノくんも確信を持てていないのかもしれない。ジュエルシードの暴走体という存在に対峙するのは初めてだろうし。もっとも、僕の考えで言えば、昨夜の暴走体はコンクリートに穴を開けたり、物質に干渉できていた。つまり、実体が存在するということである。
つまり、幽霊のような存在ではないため、物理攻撃も効くものと考えられる。
「だったら、俺たちも手伝えるかもしれない」
え? という声を上げるユーノくんと
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