無印編
第十一話 中
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に話を振るが、彼女は、フルフルと顔を横に振っただけで否定の意を表していた。
「それじゃ、次は今後のことか」
「あの……」
「ん、なに?」
やや、ユーノくんがその短い手を挙げていた。なにか言いたいことでもあるのだろうか。
「怒らないの? 僕のせいでこんなことに巻き込まれてしまったのに」
僕は、言いにくそうな声を出すものだから、何を言うかと思えば、こんなことだ。いや、責任感の強いユーノくんからしてみれば、こんなことではないのかもしれないが。
だが、ユーノくんは少し気負いすぎだと思った。彼がこのままではいずれ責任という見えない重圧に潰されてしまうんじゃないか、とそう思わせるほどに。だから、ここで少しだけでもその荷を降ろすような言葉をかけても決して罰はくだらないだろう。
「怒らないよ。もしも、ユーノくんが来てくれなかったら、僕は死んでいたかもしれないからね」
僕の言葉にぎょっと驚いたような表情をするユーノくんとなのはちゃん。
驚くのも分かる。死ぬなんて言葉は簡単に口にして良い言葉ではないから。だが、それでも、おそらくこの結論は間違いではない。
「昨夜のジュエルシードの思念体は、魔力のある人を追ってきたんだろう? だったら、ユーノくんがいなければ、間違いなく僕となのはちゃんが襲われていた」
はっ、としたような表情をなのはちゃんとユーノくんはした。
もはや過去のことを仮定しても意味がないものだが、それでも、もしもと仮定すれば、僕となのはちゃんはジュエルシードに襲われており、下手をすると家族をも巻き込んでいたかもしれない。
「だから、ユーノくんが来たことに感謝することはあっても、怒ることはないかな。そもそも、事故なんだし。仕方ないよ」
死んでしまえば、仕方ないでは済まされないこともあるかもしれないが、こうして、ユーノくんのおかげで僕たちは生きている。ならば、事故は仕方ないで済ませ、これ以上は何も言わない。むしろ、これからを考えたほうが建設的だ。
「だから、もう過去の話はおしまい。これからについて考えよう」
「うん、ありがとう」
なのはちゃんは、なぜか少し驚いたような表情をしており、ユーノくんは感極まったのか、泣きそうな顔をしていた。
ユーノくんが背負い込んでいるものが少しでも軽くなればいいけど。さて、このしんみりとした空気はあんまり好みではない。さっさと次の議題に移ることにしよう。
「さて、これからのことを考える前にいくつか質問があるんだけど」
「なに? 僕が答えられることなら何でも答えるよ」
「まず、ジュエルシードって暴走前でも探せるの?」
「大体の場所しか分からないかな。でも、発動すればすぐに分かるよ」
「そうなんだ」
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