無印編
第十一話 中
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う少し砕けた話し方でいいよ。僕たちと同じぐらいの年齢なんでしょう?」
「あ……うん、分かったよ。これでいい?」
ユーノくんが伺うように僕に聞いてきたので、頷く。なんだか、同年代から敬語を使われるというのはやはり気まずいものがある。これで少しすっきりした。
「それじゃ、最後は高町さんだよ」
僕が声をかけると、びくんと肩を震わせていた。何か不安なのだろう。肩を震わせていた。なぜだろう? 単なる自己紹介なのに。だが、やがて決意したような目をして高町さんは口を開く。
「う、うん。高町なのはです。えっと……なのはって呼んでください」
「うん、よろしく。なのはちゃん」
至って普通の自己紹介だった。一体、彼女はなにを気負っていたのだろうか。僕には分からなかったが、彼女なりの葛藤があったのだろう。結局、ユーノくんはなのはと呼ぶことになった。
「さて、自己紹介も終わったところで、今回のことについて話してもらおうかな」
僕の言葉にユーノくんは、まるで自分の罪を思い起こす罪人のように目を瞑り、すぐに瞼を開いてつぶらな瞳でこちらを真剣な表情で見てきた。
「うん。今回のことの始まりをすべて話すよ」
それからユーノくんが語ったことは僕にはにわかには信じられないことだった。
彼らの一族は、発掘を生業とする一族であるようだ。フェレットが大量に遺跡発掘というのも興味がある。それよりも、一体どうやって発掘しているのだろうか。そのための魔法だろうか。それはともかく、彼らがいつものように遺跡を発掘していると、その中から件の物体を見つけた。そう、問題の根幹であるジュエルシードである。
このジュエルシードは文献で個数と効果が分かっている。個数は全部で21個。その内、僕たちが持っているのは、ユーノくんがかろうじて回収した一つと昨夜の一つで合計二つ。つまり、後19個残っている。
効果は、術者の魔力を受けて願いを叶えるというものらしい。ただし、その願いを叶えるという作用は、悪魔の契約にも近いものらしいが。たとえば、運動会で一番になりたいと願うと他の出走者が全員、事故や病気で休み一位になるというひねくれ方だろうか。
また、その効果のために内包する魔力もとてつもなく巨大であり、彼らの手には負えないということで、この世界の警察にあたる時空管理局とやらに売買というかたちで保存を依頼した。そして、それらに封印を施し、時空管理局に民間の運送屋に運搬を頼んだ。ここまでは順調だった。だが、運んでいる途中で何らかの運搬船が事故にあってしまう。このとき、ジュエルシードは地球にばら撒かれたようだ。
幸いにして乗組員は全員、救助船で脱出に成功していたらしい。もっとも、成功していなければ、ユーノくんはここにはいなかった
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