無印編
第十一話 前
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――大体アリサちゃんやすずかちゃんにこんな言い方をされると僕は断れない―――あっさりと返事をしてしまったことにうっ、と怯むアリサちゃんだったが、さすがにここまで言われてしまえば、引き止めるほど彼女は子供ではない。
「ふんっ、いいわよ。あたしたちは二人でお昼を食べるからっ!」
「あ、ショウくん、また明日」
おそらく屋上に向かうのだろう。アリサちゃんは少し怒ったような態度を見せて僕の横を通り抜けて、ドスドスという擬音が聞こえてきそうな歩き方で教室を出て行く。その後ろを困ったような表情をしてすずかちゃんが着いていき、僕の横を通り抜ける前に手を振って別れの挨拶をしてくれた。僕もそれに答えて手を振り、ごめんと心の中で謝りながら二人を見送った。
◇ ◇ ◇
さて、アリサちゃんたちの相手をしていたので、もしかしたら帰ってるかもしれない、と不安になったのだが、幸いにして隣のクラスはまだホームルームが終わったばかりだった。このときばかりは担任の適当なホームルームに感謝である。
ぞろぞろと教室から次々と生徒たちが出てくる。仲が良い友人なのだろうか。「今日は何する?」などと仲良さげに話しながら出てくる隣のクラスの生徒たち。彼らを注意深く見ていると、やがて僕が目的にしてた人物が出てきた。
特徴的なツインテールをぴょこんと跳ねさせた少女―――高町さんだ。彼女は、鞄を背負って、どこか元気なさげに俯いて肩を落としているように見える。
もしかして、昨日のことで疲れているのだろうか。もしかすると魔法とは非常に疲れるものなのかもしれない。生憎、僕は魔法が使えなかったため、そこらへんのことは分からない。
だが、疲れているとしても、今日の話はしなければならない。なぜなら、高町さんがまだレイジングハートという魔法の制御機器を持っていて、彼女しかこの事態に対処できないとなれば、むしろ決定権を持っているのは高町さんといえるからだ。彼女が話を聞かなければ、何も始まらない。だから、悪いとは思うけど、少しだけ話を聞いてもらおう。
もっとも、後でなにか甘いものでもご馳走してあげようと思う。疲れたときには甘いものとよく言うし。
さて、そうと決まれば、早くしないと高町さんを見失ってしまう。だから、僕は彼女を見失わないように後ろから声をかけた。
「高町さん」
「ひゃいっ!?」
僕は割りと分かりやすく、気配を殺したつもりはないのだが、どうやら高町さんからしてみれば、突然の衝撃だったらしい。あからさまに驚きと分かるような声を出して、飛び上がった。
「ああ、ごめん。もしかして、驚かしちゃったかな?」
僕はあまりの驚きように困惑しながら謝る。高町さんは、どこか恐る恐るといった様子で後ろを振り返り、僕の顔
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