無印編
第十一話 前
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った。
「ショウくんが宿題忘れるなんて初めてじゃない?」
「昨日の夜はちょっと疲れることがあって、宿題をやれなかったんだ」
疲れ具合はちょっとではなかったが。ちなみに、フェレットくんはまだ僕の部屋で寝ている。まだ起きていないと思う。一応、彼の傍に置手紙と地図を書いていたが、気づいてくれるだろうか。もっとも、フェレットくんが気づかなかったら、一度家に帰ればいいだけの話だ。
「ふ〜ん。って、あっ! 昨日の夜といえば、あの動物病院で事故があったらしいわよ」
……なんだって?
僕は、カリカリカリと宿題を進めていた手を止めてアリサちゃんの話に耳を傾ける。
「なんでも、病院にトラックが突っ込んだみたいにグチャグチャになってたんだって」
「昨日のフェレット大丈夫かな?」
だよね、とアリサちゃんもすずかちゃんも心配そうにしている。
フェレットくんの魔法で元通りに戻ったはずの動物病院がグチャグチャになっているという部分は気になるが、それよりも、いらぬ心配をしている二人のほうが先決だ。
「ああ、大丈夫だよ。昨日の疲れることっていうのは、そのフェレットを追うことだったから」
「「え?」」
「たぶん、檻が壊れたんじゃないかな? 僕の部屋から道路が見えるから。そこからフェレットが走っていたからね。昨日はそれを追いかけてたんだ」
僕の部屋から道路が見えるのは本当だ。嘘の部分があるとすれば、僕が追いかけたのではなく、呼ばれたという部分だが、いくらなんでもフェレットから呼ばれたといわれても信じられるはずがないだろう。
「それ本当なの?」
「うん、今は僕の部屋にいるよ。朝、来る前にはまだ寝てたけどね」
わ〜、と歓喜の顔が二人に浮かぶ。おそらく、夜の事故の話を聞いてずっと心配してたのだろう。安心してくれて何よりだ。
「それで、そのフェレットだけど、僕の家で飼えるようになったから」
ただし、僕の部屋限定だが。それ以外だと秋人がフェレットくんをいじめそうで怖い。
その朗報に二人が沸いていた。当たり前だ。昨日までは、フェレットが手の届かないところに行くものだと思っていたのだから。昨日はフェレットの処遇について話し合ったが埒が明かなかった。アリサちゃんの家は犬、すずかちゃんの家は猫。僕も秋人がいるから無理だと思っていたから。
もしも、僕たちが無理だったら、あのフェレットはどうなっていたのか分からない。少なくとも自分たちの手の届く範囲にいるのは嬉しいことだろう。喋れるという部分を除いても珍しいペットであることだし。
「それじゃ、名前つけてあげないとね」
「名前?」
ああ、そうだ。すっかり忘れていた。
昨日はもう疲れ果てていたから、とりあえずの寝
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