無印編
第十話 裏 (なのは)
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
フェレットが紡ぐ言葉をなのはも紡ぐ。
―――我、使命を受けし者なり。
契約の下、その力を解き放て。
風は空に、星は天に。
そして、不屈の心はこの胸に。
この手に魔法を。
レイジングハート、セット・アップ! ――――
その呪文を唱え終えた直後、変化は始まった。
―――Stand by Ready, Set up.
呪文から察するにレイジングハートと名づけられている赤い宝石から機械的な起動音がしたかと思うと、突然の声。それに驚く暇もなく、レイジングハートから桃色の光が発せられる。
「あ、あは、あはははは」
知らず知らずのうちに口から笑い声を口にしていた。当たり前だ。何も知らないなのはでも分かるレイジングハートから発せられる巨大すぎる力。それは、確実に自分のものだという確信がある。自分の中に秘められた巨大な力。何もできない高町なのはの中に眠っていた力。これを目の当たりにして笑わずにはいられようか。
ようやく、ようやく、ようやく手に入れたのだ。闇の中をもがいて、彷徨って、溺れて、諦めて、絶望の淵に沈もうとしていたなのが、誰にも、蔵元翔太でさえも追随できないほどの力を。自分だけの、高町なのはだけの力を。
だからこそ、笑う。笑ってしまう。それは、高町なのが全身で感じていた歓喜を表す唯一の方法だった。
「想像してくださいっ! 貴方が魔法を制御するための魔法の杖と身を護る強い衣服の姿をっ!」
フェレットが何か言っているのになのは気づいた。どうやら、このままではこの力は使えないらしい。
ならば、想像する。高町なのはだけの魔法の杖と強い衣服の姿を。
杖の形は安直なものにした。凝った形を作る時間がもったいなかったから。
衣服は、聖祥大付属小学校の制服に黒を基調とし、ところどころ赤で装飾されたものが最初になぜか思い浮かんだが、それは即座にやめた。その衣装は、この魔法の力を使うにしてはあまりに無粋。
この力は、なのはにとって最後の希望だ。願いだ。望みだ。ならば、どこまでも引きずりこまれそうな黒と血のような真紅などは似合わない。願うは、純白。穢れなき純白。それしかありえない。故に、最終的には聖祥大付属小学校と同じような服装になってしまった。だが、後悔はない。これがなのはの望んだ色なのだから。
やがて、杖と衣装の形が決まると、なのはの周りを光の帯が包み込んだ。その中では、衣服が分解され、彼女の身を護るバリアジャケットが展開されていることだろう。そして、レイジングハートは宝石から形を変え、なのはの想像したとおりの魔法の杖へと変化していた。
「これが……魔法」
光の帯から解放されたなのはが、自分の変化した衣服とレイジン
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ