無印編
第十話
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「さあ、ジュエルシードをレイジングハートに格納してください」
言われて気づいたが、陥没したところに蒼い宝石が転がっていた。これが、ジュエルシードなのだろう。
高町さんは言われたとおりに聖祥大付属小の制服に似た服装のまま、蒼い宝石に近づき、レイジングハートをかざすと、蒼い宝石はレイジングハートの中に吸い込まれていった。
それと同時に今度は、高町さんが光りだす。今度はなにが起きたんだ? と思う間もなく結果は目に見えて分かった。高町さんの服装が元の私服に戻り、レイジングハートは赤い宝石に戻ったからだ。
高町さんはきょとんとした様子で、赤い宝石に戻ったレイジングハートを見ていた。
「これで、本当に終わりかな?」
「ええ、彼女のおかげで」
本当に全部、高町さんのおかげだろう。僕は、助けるために飛び出したにも関わらず、情けないことにこの場では、傍観者でしかなかった。結果論からいえば、みんな助かって万々歳なんだろうけど。
「高町さん、本当にありがとう。君のおかげで助かったよ」
僕は、呆然としている高町さんに肩を叩いてこちらに顔を向けさせると、改めて御礼を言った。彼女がいなければ、僕は間違いなく屍を晒していただろうから。
その言葉を聞いた直後は、きょとんとしていた彼女だったが、やがて驚いたような表情をしたかと思うと―――
「うんっ!」
高町さんは、僕が真正面から初めて見る満面の笑みを浮かべたのだった。
◇ ◇ ◇
「しかしながら、これはどうしたものかな?」
僕は周りの惨劇を見ながらぽりぽりと頭の後ろを掻きながらどうにもならない現状を嘆いていた。
アスファルトが陥没し、コンクリートに穴が開き、電柱が折れている。地震でも起きたのではないか、という状況だった。
こんな状況が放置されれば、確実に事件になるのは間違いない。
「あ、大丈夫ですよ。この状況はすぐに元に戻ります」
イタチくんがそういった直後、まるでシャボン玉でも割れたようなパンッという音が鳴り、世界に音が戻った。
風の音、風が揺らして葉っぱがこすれる音、遠くを走る車の音。世界に生きる様々な音が今更のように蘇っていた。
そして、先ほどの惨劇は、綺麗さっぱりなくなっており、そこにはジュエルシードの思念体が、暴れる前と同じく綺麗なアスファルトとコンクリート、折れていない電柱が存在していた。
「……すごい、これも魔法なの?」
高町さんが感心したように呟く。それは、僕も同じ感想だった。明らかに僕が知るエネルギーやら法則を無視した結果のように思えた。
「ある意味では。先ほどのまでの空間は、僕の封時結界の中でしたので。こうして結界さえ解いてしまえば、元通
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