無印編
第十話
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触手のほうが力負けして、押し戻されている。さすがにこのままの状況では勝ち目がない、と悟ったのか、得体の知れないものは、自らが伸ばした触手を戻した。
「すごい」
それは、イタチくんの呟き。
僕もすごいとは思うが、それが果たして何を基準にしてすごいというのか分からない。魔法なんて見たことないから。
だが、誰が、教えられて僅か十分で、魔法が使えるというのだろうか。得体の知れない物体と戦うことができるというのだろうか。漫画のヒーローではあるまいに。これが現実だとすれば、答えは唯一つ。
高町なのはは、魔法に関して言うと、一を学んで十を知る天才だったというだけの話だ。
高町さんと得たいの知れない物体との睨み続く。得体の知れない物体は、うねうねと触手を動かすことで高町さんを威嚇しているようにも見える。威嚇にしか見えないのは攻めてくる気配がまったくないからだろう。知能が低いとは思っていた分、どうやら高町さんを適わない敵だと認識できるほどには本能的に強いらしい。
一方の高町さんは、得体の知れない物体に向かって杖を向けているだけ。彼女は、まだ何も使い方を学んでいないはずなのだが。どうやって魔法を使っているのだろうか。本当に謎だった。
しかしながら、これはチャンスだった。イタチくんが高町さんに状況を説明する絶好の。
「イタチくん、高町さんに魔法の説明を」
「あ、はいっ!」
僕のその呼び声に反応して、杖を構えたままの高町さんにイタチくんは魔法に関する説明を始めた。僕も初めて聞く話だったが、大まかにまとめると、魔法というのは、術者本人が持つ魔力をエネルギーにし、プログラムを発動させるというものらしい。あのレイジングハートの中には、簡単な魔法が登録されているようだ。簡単な魔法は、思うだけで使えるらしいが、大規模なものになると呪文が必要らしい。そして、その呪文は―――
「心を澄ましてください。そうすれば、貴方の中で貴方だけの呪文が浮かぶはずですっ!!」
果たして、それだけで使い方が分かるものなのだろうか。実際にレイジングハートを起動できなかった僕には分からない。
さて、得体の知れない物体―――ジュエルシードとやらの思念体と高町さんの対峙はいったいどれだけの時間がたっただろうか。短かったかもしれない。長かったかもしれない。僕にはいまいち時間の感覚が分からなかった。
まるで、両者とも動けばやられるという雰囲気を醸し出しており、僕もイタチくんも動くことはできなかった。
ごくり、と緊張のあまり、つばを飲み込んだ音が周りにも聞こえてそうだ。そして、まるで、その考えを肯定するように直後、状況が動いた。
思念体が直接、その僕たちよりも大きな身体を生かして突っ込んできた。まるでダンプカーが
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