無印編
第十話
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を覆い包む。
一体全体中で何が起きているのだろうか。その答えはすぐに出された。
光が解けると同時に高町さんの姿が見える。ただし、その姿は光に包まれる前とは違っていた。つい先ほどまで着ていた私服とは異なる服装だ。
聖祥大付属小学校の白を基調とした制服によく似た服を着ている。さらに、彼女の左手には宝石を大きくした宝玉とも言うべきものが先端についた杖が存在していた。
「これが……魔法」
その呟きは誰のものか。僕のものだったかもしれないし、高町さんのものだったかもしれない。だが、どちらにしても同じことだ。僕が言ったにしても、高町さんが言ったにしても、感じていることはおそらく同じことだろうから。
呆然とする僕と高町さん。イタチくんは、成功だ、と言って感動しているようにも見える。
だが、そんなに悠長にしている時間はどうやら僕たちに与えられることはないようだ。
――――GYAAAAAAAAAAAAN
高町さんの魔力解放が引き金になったのかもしれない。上手いこと電柱の影に隠れていた僕たちの姿がどうやら得体の知れないものに知られてしまったようだ。僕の背後から見つけたぞ、といわんばかりの咆哮が聞こえた。
さて、どうする?
頭の中で選択肢を租借しながら、僕は電柱の影から離れた。このままでは逃げ道が少ないからだ。道路の向こう側には、確かに僕を追っていた得体の知れない物体が立っていた。
僕の頭の中には二つの選択肢があった。一つは、今までどおり逃げること。もう一つは、ちょっと情けないけど高町さんに任せて逃げること。だが、対抗手段を持っているのはもはや高町さん以外にありえない。
しかしながら、対抗手段は持っているものの、その力がすぐに使えるわけではないだろう。僕にはレイジングハートを起動することすらできなかったのだから、その先は分からない。イタチくんにまかせるしかないのだが。
どうやら、得体の知れない何かは、その選択肢を選択させる暇もイタチくんに説明の暇を与えるつもりはないようだ。
見つけた、とばかりの咆哮を終えた後に、すぐさま、得たいの知れない黒い部分から伸びた黒い触手をこちらに向かって一直線に伸ばしてくる。そのスピードは目で追えないほどに早いというわけではない。
だからだろう。高町さんが僕の前に出ることができたのは。
そうして、僕に背を向けて彼女はかざす。自らが想像した杖を。そして、その杖が告げる。彼女に得体の知れない何かに対抗するための呪文を。
―――Protection.
呪文のように発せられた文言の後に発生したのは、桃色の壁。その壁は高町さんと触手を別つ絶対の障壁のように展開された。
事実、触手は壁を貫くことはできない。それどころか、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ