無印編
第九話 後
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◇ ◇
助けを求めて、一体どれだけの時間逃げただろうか。そろそろ体力の限界が近かった。
曲がり角に曲がっては、電柱の裏に隠れて時間を稼ぐといったことの積み重ねて休み休みで足を誤魔化してきたわけだが、そろそろ本当に限界に近かった。
しかし、助けが来てくれる様子はない。もしかすると、もう一人の人はやはり魔法というものを信じてもらえず来てくれないのだろうか。
そんな絶望が一瞬浮かんだからだろうか。しっかりと地面を踏みしめていた足が、一瞬、力を失い、もつれてしまった。体勢を立て直すこともできず、結果、転倒。アスファルトの上をヘッドスライディングのように滑ってしまった。
「いつつ……」
「だ、大丈夫ですか!?」
転んだ僕を心配してくれるイタチくん。幸いにして転び方がよかったのか、打ったところが痛いものの怪我の類はないようだ。
大丈夫だよ。と言おうとしたところで街灯に照らされていた僕の顔を遮るように影ができた。
「え?」
ふと、見上げるとそこには見たことある顔が。
「高町……さん?」
ようやく獲物を見つけたとでも言うがのごとく叫ぶ黒い得体の知れない何かにまったく怯むことなく、高町さんが冷静な目で僕を見下ろしていた。
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