無印編
第九話 後
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に超常現象の類で、超能力者がテレパシーとか使って助けを求めているかもしれないから。その彼が次の日の朝刊に載っていたら気分が悪いから。動物病院の先生の笑顔を裏切ったような罪悪感に悩まされたくないから。
一瞬で浮かぶ、かなり無理矢理な理由。だが、そんなこじつけの理由でもなければ、僕は夜の街に繰り出そうとは思わなかっただろう。
僕は、弟の秋人の世話でてんてこ舞いになっている両親に外出する旨を告げ、薄暗い夜の町に飛び出した。
◇ ◇ ◇
僕は夜の街を走る、走る、走る。
昼間の人通りが多い時間とは違って、住宅街であるこの近辺は夜になると人通りが殆どなかった。その恐怖を紛らわせるためか、助けてという声に心が急かされているのか、走っていた。
しかしながら、僕は一体どこに向かって走っているのだろう。
放課後や休日のサッカーや野球で運動をしているといっても遊びのレベル。そこら辺の小学生よりも体力はあるだろうが、ずっと街中を走れるほどの体力を持っているわけではない。はっはっ、と肩で息をしながら、僕は走っている。声がしたであろう方角に向かって。
むろん、聞こえてきたのは頭の中であり、声の方角が正確にわかったわけではない。今、僕は確実に勘だけで走っている。女の勘は鋭いと聞いたことはあるが、男の勘も鋭いのだろうか。いやいや、しかしながら、ありえない声が聞こえる僕だ。超能力者やそれに匹敵するだけの勘があっても変な話ではない。
とにかく、僕は何かに突き動かされるように走っていた。
そして、たどり着いたのは――――
「槙原動物病院? ―――っ!?」
なぜここなんだ? と疑問に思っていると、突然不思議な耳鳴りに襲われた。まるで黒板を爪で引っかいたような生理的に嫌悪感を感じさせる音。そして、その音が聞こえた刹那、時が止まった。
いや、そう形容するのはおかしな話である。時は不可逆で、止まることなど決してありえないのだから。だが、そう形容するしかなかった。
まず、自然の音が消えた。いくら人通りが少ないといっても車通りがまったくないわけではない。つまり、車の排気音、家庭から聞こえてくる音、庭先の犬が吼える音、野良猫が威嚇しあう音。街中に出るだけで普通は音にあふれている。それらが一斉に止まった。まるで、時間を止めたように。
―――どうなってるんだ?
さすがに自分自身が輪廻転生という不可思議な現象を体験しているとはいえ、この状況に追い込まれれば焦りもする。もしかしたら、僕はとんでもないことに首を突っ込んでしまったのでは? と思っていると、唐突に訪れた静寂を切り裂くようなこれまた突然の爆発音。
「……今度は一体何が起きたんだ?」
幸いにして僕が超常現象で慌てる時
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