無印編
第九話 前
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も、これがアリサちゃんたち以外なら僕は絶句していただろう。なぜなら、アリサちゃんとすずかちゃんたち以外から出るとすれば、サッカー選手やプロ野球選手、お菓子屋さん、お嫁さんなどのファンシーのものだと予想するから。
そんな中、彼女たちは規格外といっても過言ではない。明らかに周囲と比べて精神年齢が上だ。確かに女の子のほうが、男よりも精神年齢は高いといわれているが、それを考慮しても彼女たちはずば抜けているといっても過言ではない。
そのせいで、周囲から浮いているような気がするが、彼女たちは周囲に合わせるだけのスキルを持っているので特に問題は起きていないようだ。
「そういうあんたはどうなのよ?」
「僕か―――」
僕は自分の将来に思いを馳せてみる。
なぜか奇妙なことに僕は二度目の人生を送っている。前世の僕は親に言われるままに、周囲に流されるように大学まで進学した。大学で選択した学部だって理系科目が少し得意で、パソコンに興味があった、程度で選択したようなものだ。きっと、僕は大学を卒業して適当な会社で働いて、家庭を作るんだろうな、という散漫とした光景しか思い浮かべていなかった。今は、どんな因果が働いたのか、こうしてもう一度、小学生をしているわけだが。
さて、将来なんてものは、今まで考えたこともなかった。また前世のような進路を選ぶのだろうか。
「僕は何になれるんだろうね?」
「あんたなら何でもなれるんじゃない」
「ショウくんは学年一位だもんね」
アリサちゃんとすずかちゃんは軽く返してくれる。
学年一位、その言葉からふと考える。そう、僕は確かに今は学年一位だ。だが、その地位も高校生、いや、もしかしたら中学生までだろう。いくら、大学に行ったといっても、僕は天才ではない。
十を聞いて十を理解すれば秀才。十を聞いて三を理解すれば凡人。一を聞いて十を理解すれば天才だ。
ならば、今の僕は確かに天才だろう。一を聞いて十を知っているのだから。だが、僕の本質は天才にはほど遠い凡人だ。今は大学生の知識というチートを使っているに過ぎない。ならば、そのメッキが剥がれるのはいつだろうか? もっとも、僕だってもともとの知識に胡坐をかいているわけではない。確かに僕は凡人だ。だが、凡人でも、勉強の質と量さえ考えれば、成績はそれなりに取ることが可能なのだから。
「あ、そうだ。ショウなら、教師とかいいんじゃない?」
「そうだね。ショウくん、みんなをまとめるの上手だし」
「先生かぁ」
人と機械。前世は今言われた職業。後者は、前世で関わっていたもの。両者はまったくの逆ベクトルである。この二年間の短い小学校生活で、先生という職業はご勘弁願いたいとは思っているが、人と関わる職業というのも面白いかもしれな
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