無印編
第九話 裏 (高町家、なのは)
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そして、知らない子であればあるほどのその特徴は顕著に現れ、友人など出来なくなってしまう。たまになのはに興味をもって近づいてきた子供がいたとしても、なのはが何もいえないのを見るとすぐさま興味を失って去ってしまうのだ。
それはいくつものイベントをこなした今でもそうだ。
何度目かの失敗で再びカウンセラーの下を訪れたとき、彼は言う。
「もしかしたら、お子さんは、考えがまとまらず自分の考えを言うのに時間がかかっているのかもしれません。もし、そうなら、じっと彼女が意見を言うまで待ってくれるような子が友達になってくれればいいんでしょうが、小学二年生の子にそれを求めるのは酷でしょう。しかも、臆病な性格なら尚のことです。仮に彼女が何かを言うまで待ってくれたとしても、その考えを否定されれば、彼女はさらに臆病になってしまう」
何か他に手はないのか、と問う士郎にカウンセラーは答える。
「直接、お子さんと話をしてカウンセリングするのもいいかもしれませんが、病院にお子さんを連れてくることはあまりお勧めしません。子供にとって病院は病気になったときに来るもので、恐怖の対象ですので。心の病気と告げられるとさらにショックを受けてしまう可能性も否定できないのです」
何も感じず、カウンセリングすることも可能かもしれないが、どちらに転ぶかは連れてきてみないと分からないというのだからが悪い。もちろん、何も告げずに騙してカウンセリングを受けさせるという手も考えられたが、子供である以上、敏感に感じ取ってしまう危険性があるため、却下された。その手に関して、子供は大人よりも敏感だ。しかも、下手をすると両親への信頼度がガクンと減ってしまう。
結局、一度、不登校という結果を目の当たりにしている二人は、連れてきて再度同じ状況になることを恐れて、病院にカウンセリングのために連れてくるという選択を取ることは出来なかった。
そして、気がつけば季節はめぐり、また春。彼らが努力を続けてもう少しで一年が経とうとしていた。しかし、成果はゼロ。未だに彼女に友達が出来た気配はない。
「でも、クラスが変わったから、新しい子もいるんじゃない?」
「その可能性は高い」
なのはのクラスは第二学級から変わることはなかった。なぜか、あの事件以来、理数系の教科は上がり、逆に文系教科は軒並み低下。平均すると前と同じぐらいになって、学級が変わることはなかった。だが、なのはがクラスを変わらなくても、第三学級から入ってきたり、逆に第一学級から入ってきたりして入れ替わり立ち変わりだ。そこにはなのはと関係のなかった新しい面々もいるだろう。美由希はそれに期待しているのだ。
「近々イベントもないし、新しいクラスに期待するしかないのか」
「そう、なる……か」
恭也が
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