第五章
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だろう…。まず両親に泣きながら100回ずつぶっ飛ばされ、親族会議を招集されて卓袱上に荒縄で吊るし上げられて罵倒の集中砲火を浴びるような大騒動になるだろうな……などと、ありえない未来予想図が頭をよぎった。
「…どうよ、姶良。すごくね?」
「……お前……妹、いたよな」
「妹萌えと現実のクソ妹は別ものだろうが!」
「……はぁ、深いね……」
「このムッツリが。そんなカオしてると、ソフトやらねぇぞ」
「…いや、すまん、ください」
咄嗟にそんな言葉が出た。
仁藤は眼鏡の奥でニンマリ笑うと、僕の胸をDVDでポンと叩いた。
「なっ、兄弟♪」
何かに屈したような脱力感に襲われ、ベンチ椅子に崩れ落ちる。佐々木がMAXコーヒーを一口すすり、渋い顔をしながら「……甘」と、吐き捨てるように呟いた。
……まず、ドアにチェーンロックを掛ける。合鍵は一つとは限らないから。そして押入れの中まで隈なくチェックして、念のため室内をぐるっと一周。…誰も潜んでいない。電気を消し、雨戸とカーテンを閉めて、ノーパソに向き直った。
既に起動済みのビアンキが、首をかしげて僕の不審な行動を眺めている。
「…ご主人さま、Googleの張り込みは?」
「…いや、もうちょっとしたら頼むよ…その前にその、ソ、ソフトのインストールを…」
「はい、ご主人さま!」
晴れやかなビアンキの笑顔に、ちくりと胸が痛む。
ごめん…ビアンキ。……ちょっとだから!ほんの2、3時間!一回見たらアンインストールするから!
押し寄せる動悸をおさえ、DVDをケースから取り出すのももどかしく、挿入口に押し当てる。2、3回、引っかかったが、やがて挿入口に吸い込まれていった。あとは、桃色のガイドボタンに導かれるままに、インストールを進めていく……やがて、見覚えのある水色の画面が立ち上がった。ぐび…と喉を鳴らして、画面を凝視する。
……やがて、画面上にメッセージが一つ、表示された。
『MOGMOGがインストールされてないですぅ♪』
………バカな!ビアンキは現に今もバリバリ動いてるじゃないか!!
……いや、ちょっとまて……
しまった!!バカは僕だ!!
ビアンキは正確には通常のMOGMOGとは違うものだったっけ!
通常MOGMOG用のソフトがほいほい使えるわけないよ!!
考えてみりゃ、紺野さんは以前、それを僕から隠すために、わざわざ柚木を個別に呼び出して通常MOGMOG用の着せ替えツールを渡そうとしたんじゃないか!!
………ぐわぁ。
物凄い脱力感が一気に襲いかかってきて、僕はそのまま、がっくりと横ざまに倒れて座布団に顔をうずめた。
その瞬間、ノートパソコンのIPフォンが、ぷぷー、と間抜けな音を立てて着信を伝えた。のろのろ起き上がってヘッドホンを
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