第五章
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「MAXコーヒーでよかった?」
「おー上出来、上出来」「えー、『エメマン微糖』とかあったろ!?」
仁藤と佐々木が同時に正反対のリアクションをとる。
「…何でもいいって言ったじゃん」
「何でもってお前…まさか3本ともMAXコーヒー買ってくるなんて…」
佐々木が何かごにょごにょ呟きながら、しぶしぶといった体でMAXコーヒーを手に取る。
「いつもこんなの飲んでなかったか」
「そりゃ仁藤だよ。おれ甘いの苦手なんだよな…」
じゃあ最初からそう言え…と思ったけれど口には出さず、仁藤に向き直る。
「なんでわざわざ教室出たんだよ」
「これを教室で見せるわけにはいかないだろ」
ノーパソを覗いてみるものの、覗き込み防止フィルタのせいでよく見えない。僕が伸び上がったり、立ち位置を変えたりしていると、仁藤がほんの少しだけ画面を傾けた。
「ほれ」
「……なっ……」
僕は一瞬息を呑んだ。いかにも仁藤が好きそうな小学生くらいの猫耳の少女…たしか、キャラ選択画面の2ページ目くらいで見かけた…その少女が、鎖付きの首輪といびつな拘束具以外は、一糸まとわぬ裸身をさらしている。
「な?……すっげぇだろ?」
「……こっ、こんなディテールまで……この『Takumi』ってプログラマー、天才だぜ。いい仕事してるよな!姶良!」佐々木が興奮気味に身を乗り出した。
「………あ、うん………」
どう見ても小学5年以上ってことはありえない子供が、中世の拷問で使いそうなマニアックな拘束具で股間を締め上げられてしくしく泣いている。エロいというよりむしろイヤな性犯罪現場に居合わせた気分だ。
「こういうのイマイチだったら他にもあるぞ、女教師とか、女王様とか、園児服とか」
……紺野さん、なんてストライクゾーンの広い変態だろう……
「しかもこれ、命令するとポーズ変えるんだぜ。……ミミちゃん、お兄ちゃんたちにM字開脚を見せてごら〜ん」
「はい、お兄ちゃん」
……あ、仁藤のはそういう設定なんだ……
「あれ?ミミちゃん、もっと足を開かないとだめだよ?」
仁藤がよだれを垂らさんばかりの下衆な顔で詰め寄ると、ミミちゃんとやらは薄く頬をそめて、消え入るような声で呟いた。
「他のひとがいると、恥ずかしいよぉ…お兄ちゃん…」
「ははは…残念ながら、これ以上はマスターしか見れないんだよ!」
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…あざといな、あの変態職人。
…これは短期間で爆発的に流布するだろう。エロくした方が流行ることも計算のうちか。さすが紺野さん、変態には変態、蛇の道はヘビだ……
なんか病気っぽいことになってるディスプレイから目をそらして、コーヒーを一口すする。
…仮に僕が妹に「お兄ちゃんに全裸でM字開脚見せてごら〜ん」などと言ったりしたらどんな騒ぎになる
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