第33話 史上最大の侵略
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ね…母親だからこそ、これ以上あの子が苦しんでいる姿は見たくないの……だから、出来る事ならこれ以上あの子が苦しむ前に…】
それから先の言葉は聞き取れなかった。だが、その途中から彼女が流している涙から何を言っているのかは大体察しが付いた。
これ以上クロノが苦しむ前に彼を楽にして欲しい。そう言っていたのだ。それが、母親であるリンディの出来るせめての事なのであった。
「分かりました。直ちに基地爆破の準備を進めるんだ。なるべく一発で基地を全て焼き払える量の爆薬を積むんだ。彼を…一息で殺せるだけの量を…」
無念の気持ちで一杯になりながらもキリヤマ隊長は命令した。その命を受けたフルハシ達も重い肩を下げながら静かに頷き行動に移った。その間、フェイトとアルフの二人は動く事が出来なかった。彼等の行動を阻害できなかったのだ。自分達では彼等を助ける事が出来ない。その無力さが悔しかったのだ。
だが、此処に一人全く違う考えを持っている者が居た。先ほどの話の一部始終を通信機で見ていたダンであった。ダンは急ぎベットから飛び起き防衛軍基地を抜け出した。
(彼を見殺しには出来ない…今の僕なら彼を救い出せる)
胸ポケットからウルトラアイを取り出し装着しようとした。その時、また別のウルトラセブンが現れて手を翳した。
【止めろ! 変身するな! 今度こそお前は死ぬぞ!】
その言葉を聞いた時、ダンは躊躇った。もし此処で変身したら、恐らく自分は二度と変身する事が出来ない。嫌、最悪…
(それがどうした! 今の僕にとって自分の死よりも彼を見殺しにする事の方が何十倍も辛い!)
自身にそう言い利かせてダンはウルトラアイを装着しようとした。だが、その時背後に人影を感じた。ハッとなったダンは振り返る。其処に居たのはアンヌだった。
「ダン、医務室に居なかったから心配になって探しに来たの…駄目じゃない、寝てなくちゃ」
「アンヌ…」
「ダン、貴方何か隠しているの? もし悩み事があるのなら相談にのるわ! お願い、話して」
アンヌが神妙にダンに言った。その言葉がダンの中にあった何かを突き崩す。その感覚を感じたダンはアンヌを見た。その顔には何かを打ち明ける決意の表情が見て取れた。
「アンヌ…僕は…僕は地球人じゃないんだ! M78星雲からやってきた……ウルトラセブンなんだ!」
「え!?」
ダンからその言葉を聞かされた。視界が一気にフラッシュバックするのを感じた。ダンから目線を外せられない。頭の中が真っ白になっていく。
「ビックリしただろ?」
そんなアンヌを察してかダンがやんわりと尋ねた。それに対しアンヌは首を左右に振った。
「そんな事ないわ…地球人であろうと、そうでなかろうと、貴方がダンである事に変わりない
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