第二十七話 本分を尽くす
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。そうだよな、お前はそういう奴だ。だがおかげでトップクラスの三人がラインハルトの下のままだ。
まあ焦る必要は無い。軍は少しずつだが望むような形になってきている。これからは内政だな、国内を安定させる……。まずは貴族の横暴を押さえ平民の不満を解消する。そして財政状態を改善させ長期出兵に耐えられるだけの体力を作る。改革派と話をする必要が有るな。そろそろブラッケとリヒターを呼ぶか……。
宇宙暦796年 5月 5日 ハイネセン 統合作戦本部 ヤン・ウェンリー
統合作戦本部の本部長室に入ると本部長の他にキャゼルヌ先輩が居た。二人は既にソファーに向かい合って座っている。
「ご苦労だな、ヤン准将。キャゼルヌの隣に座ってくれ」
「はい」
話の内容は想像がついている。気の重い時間になりそうだと思いながらキャゼルヌ先輩の隣に座った。
「帝国軍の防衛体制に変更が入った、聞いているかね」
「五月一日付の辞令については宇宙艦隊司令部にも回ってきました」
シトレ本部長の問いに答えるとキャゼルヌ先輩が私にA四用紙のレポートを差し出した。レポートを受け取り目を通す。予想通り新体制の内容だ。私が見たものよりは多少詳しい。フェザーン経由で新たに情報が入ったか、或いは情報部が調べたか……。溜息が出そうになって慌てて堪えた。
「イゼルローン方面軍か、どう思うかね」
「あまり良くは有りませんね」
「良くないか」
「はい」
私が答えるとシトレ本部長が溜息を吐いて頷いた。
「イゼルローンは要塞司令官と駐留艦隊司令官の仲が悪い事で有名だった。帝国でも何度か指揮系統を一元化しようという話が有ったらしいが……」
「実現化した、そう言う事ですか」
「そう言う事だな」
本部長とキャゼルヌ先輩が話している。
「ヤン、実際問題としてどの程度影響が有ると思うんだ」
「そうですね。これまでは要塞と艦隊がそれぞれに同盟軍と戦うと言った要素が強かったと思います。協力は最小限のものだったでしょう、我々が付け込む隙もそこに有ったと思います。ですが今回の改編により指揮系統が統一されました。イゼルローン要塞と駐留艦隊の連携は以前に比べればかなり良くなるはずです。今後、大軍を率いて要塞を攻略するというのは不可能に近いかもしれません」
「それじゃあイゼルローン要塞は攻略不可能、そう言う事か……」
呟く様な口調だった。
「仮に帝国に気付かれずに要塞を囲む事に成功したとします。こちらの兵力は三個艦隊、約五万隻。しかし四十日後には帝国軍には援軍が到着します。我々は四十日以内に協力し合う艦隊を排除し要塞を落とさなければならない……」
「現実には帝国軍の増援はもっと早く来るだろう。不可能に近いな……、イゼルローン要塞は真実、難攻不落になった
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