第二十七話 本分を尽くす
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長とケンプ提督が話している。話している二人を皆が見ていた。
「では我々が為すべき事は?」
「……迷わずに指揮官としての本分を尽くす事、だろう」
「迷わずにか……、ならば我々は前へ進まなければならない」
メックリンガー総参謀長が皆を見渡した。反対する人間はいなかった。
帝国暦487年 5月 3日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク
「随分と厳しい事を言われましたが、宜しかったのですか」
ラインハルトが気遣わしげに声をかけてきた。周囲の人間がこちらに目礼を送ってくる。それに応えながらラインハルトに答えた。
「私は非難が出るのを承知の上で彼らを選んだんです。彼らにも覚悟を持ってもらわなければ……」
ラインハルトが頷いた。
「意味が有りませんか」
「ええ」
「……厳しいですね、公は。昔、ヴァンフリートで怒られた事を思いだしました」
ヴァンフリートか……、個人の武勲を優先するなと言った事が有ったな。懐かしい話だ。俺が“そういうことも有りましたね”と言うとラインハルトが頷いた。二人で軽く笑った。周囲が俺達の方を見た。一々煩わしい事だ。
「フェザーンが信用できない以上、反乱軍の兵力の確定は難しい。となると索敵行動を多くする必要が発生します。遭遇戦が起きる可能性が高くなる……」
「そうですね、艦隊司令官の判断力が問われることになる。公の仰られた事は間違っていないと思います」
「ミューゼル提督にそう言って貰えると気が楽になりますよ」
ラインハルトが軽く笑みを浮かべている。妙な感じだ、ラインハルトに励まされるとは。
「ロイエンタール達の事、宜しかったのですか?」
「ええ、彼らの言う事はもっともですよ。ミューゼル提督には助けてもらったのですから。一度は恩返しをしないと」
「……分かりました、その時が楽しみです」
ラインハルトが笑みを浮かべて頷いた。
「手放したくなくなるかもしれませんね。何と言っても彼らは出来ます、そうでは有りませんか」
「そうですね」
ラインハルトが笑う、俺も声を合わせて笑った。
ロイエンタール、ミッターマイヤー、ミュラーの三人も艦隊司令官にと思った。しかし、三人が断ってきた。ロイエンタールとミッターマイヤーは一度もラインハルトと共に戦わないまま離れるのは納得がいかないと言ってきた。コルプト大尉の件ではラインハルトに助けてもらっている。またコルプト子爵の件でもアンネローゼに迷惑が掛かりそうになった。その借りは戦場で返したい、そう言ってきた。
すっきりさせた方が良いだろう。ミッターマイヤーのような男には心に引っかかりを残させないほうが良いからな。ミュラーも自分だけ昇進して異動するわけにはいかないと言ってきた
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