本編前
第八話
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ンジェ戦記って面白かった?」
「うん、文章も読みやすかったし、面白かったよ」
なるほど、文学少女と呼んでもおかしくないほど本を読んでいるすずかちゃんの評価だ。面白いという前評判は信じてよさそうだった。なら、僕がこれを読んで続きが読みたくなるのもほぼ間違いないだろう。なら―――
「すずかちゃん、もし、よかったらなんだけど、エトランジェの残り貸してくれない?」
「うん、いいよ。私もお姉ちゃんも読んじゃったから大丈夫」
たまに他人に本を貸すのが嫌だ、という人もいるけど、どうやらすずかちゃんはその部類には入らなかったようだ。快く快諾してくれた。
「でも、いつ貸してもらおう?」
問題はそこだった。今はゴールデンウィーク中。すずかちゃんも用事がないわけではないだろう。僕はほとんどないけど。今日、出会えたのが偶然だとするなら、ゴールデンウィークの残りは絶望的だと思っていい。だが、この程度の本なら間違いなく一巻と二巻はゴールデンウィーク中には読み終えてしまう。
「ショウくんはこの後、時間があるの?」
「大丈夫だけど」
今日は、本当に用事がなかったから、帰って秋人の面倒でも見ながら、本を読もうと思っていたぐらいだ。なんだか、小学生のゴールデンウィークにしては寂しいような気もするが、前半に遠出した面々はまだ帰ってきてないし、後半に遊びに行く面々は逆に今日から出発していないのだから、仕方ない。
僕の返答にすずかちゃんは、ほっと安堵の息を吐き笑って僕に提案してくれた。
「私が本を返して借りるまで待ってくれるなら、この後、私の家に来るといいよ。その時、貸すから」
「え? いいの?」
「うん、今日は私も時間が空いてたから」
なら、お言葉に甘えることにしよう。
結局、図書館で本を選ぶのに付き合い、その後、月村邸で本を借りて、お茶を飲みながら本について雑談した後に帰宅するのだった。
◇ ◇ ◇
『ほらほら、何とかいったらどうなのよ?』
『ちょ、ちょっと待って』
僕は、必死に自分の頭にある少ない語彙の中から言葉を作ろうとしたのだが、それは結局致命的な単語が足りなくて挫折することになる。
こうなってしまうと、目の前でニヤニヤ笑っているアリサちゃんに太刀打ちできるような手はない。
僕は素直に両手を挙げて降参の意を示しながら、こういうしかなかった。
『辞書を貸してください』
『しょうがないわね』
僕が頭をたれるとアリサちゃんは、仕方ないと肩をすくめて和英辞書を貸してくれる。
ぺらぺらとページを捲り、目的の単語を見つけて、アリサちゃんの質問に答えてみるが、どうもニュアンスが違うらしい。少しだけ単語と単語の並びを
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