本編前
第八話
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ーなのでそれなりに重い。
一方のすずかちゃんも手提げ袋の中にいくつか本が入っているようだった。
「へ〜、どんな本か見てもいい?」
「いいよ」
はい、と僕は手提げ袋の中身を開いてタイトルが載ってる背表紙を見せた。
「……えっと、これ、ショウくんが読むの?」
「そうだけど……」
手提げ袋の中を覗いたすずかちゃんは怪訝な顔をして僕を見てくる。しかも、若干、引いているようにさえ感じる。
あれ? 何か変なものを借りたかな? とりあえず興味を引いたものを手当たり次第借りたのであまりタイトルを覚えていなかった僕は改めて手提げ袋の中を覗き込む。そこに並んでいたタイトルは―――
『児童心理学入門』『小学生の心と身体の成長』『子供からの手紙悩み相談』『エトランジェ戦記1、2』
なるほど、これなら確かにすずかちゃんが怪訝な顔をするのは分かる。
僕は前世で、心理学を独学に近い形で勉強していた。ここでもその名残が出ているのだろう。しかし、すずかちゃんからしてみれば、小学生が小学生の心理学を読んでいるわけだ。すずかちゃんからしてみれば、驚愕ものだな。
後半の二つは最近になって有名になり始めたファンタジー小説だ。今のところ五冊ほど出ているが、殆ど借りられている場合が多い。今回、借りれたのは運がよかったのだろう。
「えっと、その……これは、ちょっと同年代の人たちがどんな悩みを持ってるのか気になってね」
「う〜ん、確かにショウくんって相談受けること多いからね」
どうやら誤魔化すことに成功した模様。
偶然とはいえ、半ばクラスの相談役になっていることが幸いしたようだ。
小学生の悩みは大人から見ればくだらない悩みも多い。だから、親に相談しても、あまり真剣に扱ってくれないことが多いのだ。故に友人に相談するのだが、その友人も小学生、悩んで答えが出ないことも多い。よって、最終的に僕に回ってくる、と。そして、悩みに答えていたら、その話を聞いてまた相談にくるという悪循環になっていた。
僕としては、心理学的な要素も含んでいるから楽しんではいるんだが。しかし、時々、相談した次の日に悩みを忘れていることがあるから困ったものだ。
「あっ、エトランジェは家に全部あるよ」
後半の二つを見てすずかちゃんが言う。
さすがあの洋館の持ち主だな。
エトランジェ戦記はハードカバーで一冊辺り二千円ぐらいする。つまり、全部読もうと思うと一万円だ。到底手が出せない。しかし、話によると相当面白いらしい。もし、この借りた二冊を読んで面白かったら、後三冊はあるわけだが、図書館に期待するのは無謀だろう。一巻と二巻が借りられただけでも僥倖なのだから。つまり、残りは当分お預けになるわけだ。
「エトラ
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