本編前
第八話
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た。呼んだのは誰だろう。
「将棋でもしようかと……他のやつらは相手にならん」
「ちょっと待った! ショウはこれが終わったら、バトルカードやるんだからなっ!」
いや、君はそれよりも早く問題終わらせないと、そんなものする暇ないよ。
眼鏡の彼の将棋は、彼の趣味と言っていい。ただし、その腕前はもはや趣味の段階を超えているんじゃないか、と思わせる。僕にしても全戦全敗してしまう。今では、飛車、角落ちで何とか相手してもらっている。しかしながら、それでも他のクラスメイトよりもマシらしい。よって、僕とよく対戦することが多々だ。もっとも、僕も負けてばかりもいられないので、本などを読んでいるのだが……やはり、将棋は奥が深い。
そして、バトルカードだが、こちらは前世にも似たようなものがあった。大学生にもなってこれに嵌っている連中もたくさんいたものだ。学食なんかでよくやっていたのを覚えている。前世では、僕はあまり興味がなかったのだが、今はクラスの男子の半分以上が持っている以上、話に入るためには、多少なりとも嗜むことが必要だったため、今では僕もそのカードを持っている。腕前は中級ぐらい。勝ったり負けたりだ。
結局、眼鏡の彼の宿題が終わり、後三人が必死に宿題をやっているのを尻目に僕らは将棋をやり―――無論、その間も質問には答えていた―――、彼らが終わった後、バトルカード大戦へとなだれ込むのだった。
なんだかんだいいながら、君も持ってたのか。
◇ ◇ ◇
二日目は前の日から約束していた連中とサッカーもどき(人数不足、ルール無用のため)で汗を流し、三日目は誰からもまったく連絡が入らなかったため、たまに通っている図書館に出かけることにした。
膨大な量の本が格納されている図書館。そこは月に三千円しかもらえない小学生の身からしてみれば有り難い場所だった。僕が読みたい本は、その殆どがハードカバーだ。一冊三千円を超えることもざらだ。つまり、一冊を買うのに一ヶ月の間まったくお金を使わず溜めなければならない。事実上不可能だ。だから、こうして無料で本が借りれる図書館は僕にとってありがたかかった。
「あれ? ショウくん」
「え? あ、すずかちゃんか」
僕がカウンターで本を借りて帰ろうとしたとき、出入り口の自動ドアの付近ですれ違いざまに偶然、すずかちゃんの姿が見えた。
そういえば、図書館にはよく行くって聞いたことがある。僕もよく、とは言わないが、暇が出来ると来るほうなので、今まで出会わなかったほうが不思議で仕方ない。
「ショウくんはなにか本を借りたの?」
「うん」
僕は、借りたばかりの本が入っている手提げ袋を彼女に示した。中身は、五冊ほどの本が入っているが、すべてハードカバ
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