本編前
第八話
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。理想の教師という仮面を被っているというべきだろうか。もしも、これが二十歳の精神を持つ僕じゃなかったら、確実に先生から邪険にされてるって勘違いすると思う。もしも、この年齢で僕と同等のことが出来たとしても、それは知能が高いだけであり、心は子供のままなのだから。
僕も二十歳とはいえ、学生だったのだから子供に分類されてもおかしくないと思うが。
「まあ、何にせよ、高町が登校してくれて万々歳だな」
「そうですね」
その部分に関して、僕は同意した。
僕には何が原因で高町さんが不登校になったのか分からない。だが、何が原因にせよ、この時期から不登校というのは、これからの人生を考えるとかなりマイナスだ。小学校は義務教育だから出席が足りなくても卒業は出来るだろう。
現に不登校だったとしても家に卒業証書が送られてくるなんてこともあるらしい。
それは証書がもらえただけだ。何も学んでいない。もしかしたら、家庭学習で学力だけはつくかもしれない。だが、学校で学ぶべきだった集団行動についてはまったく学んでいない。
この世界を構成するものは社会という大小さまざまな集団がひしめき合う空間だ。ならば、そこで生きていく術を知らない人間は淘汰されていく。支えてくれる誰かがいなければ生きていけなくなってしまう。それは、自立ではない。依存だ。
この時期からそんな人生が決まってしまうのは不憫すぎる。
だから、何にせよ高町さんが復帰したことは喜ばしいことだった。
僕は彼女について何も干渉していない。きっと、僕が帰った後、あの人が出来ていそうな両親が、僕の話から何かを思い、考え、彼女の不登校を何とかしたのだろう。
話を聞いて一日で何とかしてしまうとは、家族の絆は偉大だと改めて思い知らされた。いや、学校に来ただけで友達関係のことはまだなんだろうけど。今は家族で試行錯誤しているのかもしれない。だったら、それは家族の絆を深めるものだ。だったら、僕はしばらく何もしないほうがいいだろう。
それにしても、高町さんが家族と上手くいったのは、来たのはもしかしたら、僕の祈りが通じたのだろうか、と考えるのは自惚れだろうか。
◇ ◇ ◇
高町さんが復帰したと聞いてから数日が経過した。
今日からは、誰もが楽しみにしているゴールデンウィークが始まる。
一週間という長期休暇。今年も僕の家は、自宅でのんびりと過ごすことになる。原因は言わなくても分かるだろう。六ヶ月ほど前に誕生した弟である秋人である。生まれて一歳に満たない子供をこの時期の外に連れ出すには危険が多すぎる。
よって、今年も僕の家は何所にも出て行かず、家で過ごすことが決定されたのだ。
「しかし、ショウは何所にも行かなくてもよかったのか
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