本編前
第七話
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付けた。
「どうかした?」
「いえ、ずいぶん、お若いお母さんだな、と」
「小学生なのにお世辞? 上手ねぇ」
ころころと笑う高町さんのお姉さん、改め高町さんのお母さん。
今の段階で大学生だ、といわれても僕は信じてしまうだろう。
しかし、なんだろう? この違和感。若いとは思っているが、なぜか頭の隅で何かが違う、と訴えかけている。何かはまったく分からないが、何かが違う、と。それはまるでアリサちゃんや忍さんのときのような―――
「改めまして。私が高町なのはの母親の高町桃子よ」
その名前を聞いたとき、今までと同じようにある一場面がフラッシュバックした。
―――夕焼けに照らされるお墓と振り返り微笑む高町さんのお母さん。
ああ、なんで分からなかったんだろう。アリサちゃんのときに思い出したのに。この世界に疑問を持ったときに調べたのに。目の前にいるのは―――。
「翠屋のパティシエさん?」
「あら、嬉しい。うちのこと知ってくれてるのね」
「ええ、まあ」
まさか、僕が前世でやったゲームとこの世界の類似を調べるために調査した結果です、とはいえず、曖昧に誤魔化すしかなかった。
しかし、となると、もしかして―――
「あの……高町さんにお兄さんとお姉さんはいますか?」
「なのはから聞いたの? ええ、いるわよ。恭也と美由希って名前の兄と姉がね」
やっぱりか。
高町恭也は、『とらいあんぐるハート3』の主人公で、高町美由希というのはヒロインの一人だったはずだ。確か、剣術家の家系で―――流派の名前とかは忘れたけど―――、確か父親は既に仕事の最中で亡くなっていたはずだ。だから、主人公は無茶をして怪我をしていたはずだし。
もっとも、今、それが分かったところで、僕には今更何の関係もないのだが。
これは、ただの確認だ。だからどうした、と一笑していい類の。
「それじゃ、高町さんのお母さん。高町さんについてお話があります」
僕は至って真面目に高町さんのお母さんに告げる。僕の表情から何を感じたかは僕には分からない。ただ、高町さんのお母さんは、ただの子供と思って侮ったような表情はしなかった。むしろ、先ほどまでの緩んだ柔らかい雰囲気から一気に真面目な雰囲気へと引き締められた。
これが、母親というものなのだろうか。子供のことともなれば、何でも真剣になる。あるいは、高町さんのお母さんが出来た人間なのかもしれない。普通の大人なら、笑って誤魔化していただろうから。
「そう、なのはについての。だったら、士郎さんもいたほうがいいわね」
ちょっと待っててね、と言い残して高町さんのお母さんは奥に消えていく。
リビングで一人待たされることとなった僕は、奥に
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