第3話:激突!もう一人の魔法少女
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も、練習に付き合ってあげるわよ」
「そうだよ。きっと、教えてあげられることもあるだろうし…」
「…うん! アリサちゃん、すずかちゃん…二人とも、ありがとう!」
なのはの身を案じてくれる二人の大切な親友に、なのはは笑顔と共に感謝の言葉を告げた。
「…ふふっ。よかった、なのはちゃんがいつも通りで」
「…ふぇっ? すずかちゃん、それって――」
「ほら、こないだの騒ぎで学校がしばらく臨時休校になったじゃない?」
戸惑うなのはに、アリサが説明を始める。
ジュエルシードの暴走によって海鳴の街が被害を被った際、子供たちの安全を考慮し、なのはたちの通う小学校を含めて全ての学校が臨時休校になったのだった。
「それですずかが、なのはや私が寂しがってるんじゃないかって、言ってたのよ。一番寂しがってたのは自分の癖して、ね」
「もう、アリサちゃんったら…」
「にゃはは…」
親友たちが集うお茶会の席は、和やかな雰囲気に包まれた。
そんな中、なのはは内心でどうしたものかと考えていた。
筋肉痛の原因が球技大会の練習のせいだと言ってしまったおかげで、その流れですずかやアリサと球技大会に向け、一緒に練習する約束を取り付けてしまった。
二人が練習に付き合ってくれるのは心から嬉しいのだが、実際に行うのはバスケットボールでもドッジボールでも、はたまたソフトボールでもなく、竜馬の指導による超が何個付くか分からないレベルの実戦空手だ。
先ほども言ったが、そんな練習をしていると二人に知れれば、余計な心配をかけてしまうのは目に見えているし、もしかしたら竜馬に止めさせるよう言うかもしれない。
あの強面の竜馬に意見するということが、あまり竜馬のことを知らない二人にとってどれほど怖く、勇気を振り絞ることになるのだろう。
そんな辛い思いをさせてしまうことを考えると、やはり二人に本当のことを知らせるのは避けるべきだ。だが、大切な親友の好意を無碍になどできない。
(ど、どうしよう……)
なのはは九年という未だ短い人生の中で発生した最大級の葛藤に、頭を大いに悩ませるのだった。
月村邸の敷地には、邸宅の周囲を覆う広大な森林地帯が存在している。
枝葉の隙間から日光が差し込んでいて一定の明るさが保たれ、小鳥や昆虫が多く生息している、自然の宝庫である。
そんな森林に、すずかの家で飼っている子猫が足を踏み入れた。草むらの隙間から、日光を反射して何かキラキラと光っているものを見つけ、興味を惹かれたようだ。
縦にやや長い正八面体で紺碧の色をした宝石のような何か。子猫がそれに近づいた次の瞬間、日光が反射した光とは違う鈍い光が発せられ、同時にその周囲の空気が震えた。
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