第3話:激突!もう一人の魔法少女
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ジュエルシードによって発生した巨大な植物が海鳴の街を覆い尽くした一件から、約一週間が過ぎた。
いち早く救援に向かった自衛隊が『海鳴巨大植物事件』と呼ぶこの案件だが、実は海鳴市が巨大植物が街を埋め尽くしたことは世間には公表されておらず、海鳴市が『原因は不明だが被災した』ことだけが発表されていた。
なぜなら、巨大植物の出現から消滅までの時間はごく短時間であり、加えて死傷者がほとんど出なかった為、自衛隊によって箝口令が敷かれるなどを始めとした、日本国内では異例の情報統制が行われたためである。
そのため、一部週刊誌などは政府が極秘裏に研究・開発中の新兵器の暴走だの、テロリストの仕業だの好き放題に書かれたりしている。
その一方で、当の被災した海鳴の街は、月村家やバニングス家など、地元の富豪による資金や人材の投入などといった支援が積極的に行われたこともあり、わずか一週間という短期間でありながら、驚異的なスピードで復興を遂げていたのだった。
「おせぇぞ、なのはァ!」
「は、はぁ〜い…」
竜馬の道場がある山の、道場からは少し離れた場所にある坂道を、小学校の体操着を着たなのはが息を切らしながら駆け上る。
坂の終点には竜馬が腕を組んで立っており、走るなのはを見下ろして檄を飛ばす。
「はぁ…はぁ…やっと、着いた…」
「よし、五分休憩だ。そのあとは、この間教えた正拳突きの型百本!」
「ふぇ〜っ!?」
息が上がって地面にへたり込むなのはの悲痛の叫びが、山々の間を潜り抜けて反響し、山彦となって帰ってくる。
ジュエルシードが暴走し、なのはが竜馬と出会ったあの日の翌日から、竜馬によるなのはへの指導が始まった。
本来ならば魔法の特訓の筈なのだが、訓練が始まってからというものの、基礎体力向上を目指す走り込みや、空手の基本の型である正拳突きの練習しかしていなかった。
「えい! えい! えい!」
「もっと声を出せ! 脇も開いてんぞ!」
「は、はい! えい! えい! えい!」
竜馬に言われるがままに鍛錬を続けるなのはだが、その胸中には当然の如く疑問を抱いていた。
なのはは魔法をもっと上手に扱えるようになりたくて、魔導士の先輩である竜馬に師事を受けることを決めたのだ。
なのに、鍛錬の内容は体育会系の部活の練習メニューのような内容ばかり。これでは、竜馬の指導に疑問を抱くのも当然だろう。
「えい! えい! …りょ、竜馬さん!」
「後にしろ、オラ、あと二十本!」
「ご、ごめんなさい! えい! えい!」
竜馬に異議を申し立てようとするなのはだったが、一喝されて言葉を遮られてしまう。今は黙って練習するしかないようだ。
「よし、今日はここまで!」
「つ、疲れたぁ〜…」
竜馬が本日の訓練の終了
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