永遠の絆
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シチリア。イタリア南部の島だ。この島は地中海の制海権を考えるにあたり極めて重要な位置にあり昔から抗争が絶えなかった。
まずはローマとカルタゴが衝突した。ポエニ戦争である。この戦争は三回に渡って繰り広げられ遂にはカルタゴが滅亡して終わった。ローマはこれにより地中海を完全に掌握した。だがそれでも戦いは終わらず宿敵ペルシア、そしてゲルマン人達との戦いを続けた。それはローマ帝国が東西に分裂しても続いた。
それからイスラム教徒が占拠した。それからフランスが。続いてナポリが。戦いは続き時には大規模な暴動も起こった。この時反仏の抵抗組織がマフィアになったというがそれはどうやら誤りらしい。マフィアの起源は意外と新しい。
ナポリ統治時代、十八世紀後半辺りからナポリ政府はこの島の治安維持に対して山賊達を警官にして当たらせるようになった。毒を以って毒を制す、というわけだ。裏世界にも通じていた彼等はそちらでも力を持つようになりやがてそちらの世界のドンとなった。それがマフィアのもとである。この山賊警察は力を握ったままでそのまま犯罪組織となってしまったのである。
彼等がアメリカに移住するとそこでも力を持った。独自の厳格な戒律と一族による固い絆が武器だった。そしてアメリカの暗黒街を牛耳るようになったのだ。
だが彼等には一つの特徴がある。それは彼等がシチリア出身ということである。その郷土意識が彼等のアイデンティティでもあった。
アル=カポネは実を言うとマフィアのドンにはなれなかったのだ。彼はナポリにルーツを持つ。南イタリアはマフィアとはまた違った系列の犯罪組織がある。カモラというものである。
だから彼は本来ならマフィアのドンにはなれなかったのだ。どれだけ頭が切れ大胆であってもだ。彼は最初頼りになるドンがいた。その人物に引き立てられたのだ。そして禁酒法時代のシカゴにて絶大な力を誇った。最早この街の夜の世界は彼のものであった。
そうしたいささか複雑な歴史を持つアメリカン=マフィアだがイタリアにおいてもそれは変わらない。むしろ彼等の故郷でありシチリアではアメリカよりもそれが顕著だ。
彼等は裏の全てを取り仕切っている。表の世界にも顔を出す。この島は農業で知られているがその仲介等もしているのだ。
こういったことがあった。大規模な農場を経営しているある貴族が子供を誤って殺してしまった。当然捜査が入ったがここで彼と親しいマフィアが出て来た。そして話を収めた。
「済まないな」
その貴族はマフィアのドンに礼を言った。ドンは笑って答えた。
「何、こういったことはお互い様さ。何かあったらまた話をしてくれ」
「ああ」
彼はマフィアとの商売により利益を得ていた。このドンとも懇意であった。
「だがあんたはまだ警察とかにマークされているぜ」
ここでドンは彼に
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