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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
神殿の闘神
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くれ」
 その目は泣いていた。父として我が子を改造人間にするには忍びなかった。
 だがそれしかなかった。そして彼は改造人間となり甦った。
 ゴッドとの戦いでも多くのものを失った。恋人であった水城涼子はゴッドの工作員となって彼に襲い掛かってきた。幾度も命を狙われた。
 そして彼女と瓜二つの顔と姿を持つ霧子。彼女達は何と双子の姉妹であったのだ。そして涼子はゴッドに潜入していたのだ。彼を裏切ったわけではなかった。
 その彼女達も死んだ。ゴッドに手にかかったのだ。
 彼には何も残ってはいなかった。だがそんな彼を立花やチコ、マコ達が支えてくれたのだ。
「そしておやっさんと出会ったのも。アポロガイストとの戦いも運命か」
「はい。そして今も戦い続けているのも」
「残酷な運命だ」
 首を横に振ってそう言った。何かを打ち消すように。
「しかし受け入れますよ、喜んで」
 そこで笑顔になった。
「そう言うと思いましたよ」
 竜はそれを聞いて微笑んだ。
「貴方はそういう人です。だからこそライダーになった」
「運命の女神達が選んだのですかね、俺を」
「そうなのでしょう。貴方だけでなく他のライダー達も。そう」
 言葉を続けた。
「貴方達だからこそ選ばれたのだと思います」
「俺達だからですか」
「はい、その運命は確かに過酷です。しかし貴方達ならそれを克服することができます。いえ、しました」
「色々とありましたけれどね」
「それでもです。自分に勝てないとバダンにも勝てません。どれだけ強くとも」
 力の強さは本当の強さではないのだ。心が強いことこそ本当の強さなのだ。竜はそう言っていた。
「その強さがあるから貴方達は戦える。そして勝てる」
「バダンにも」
「当然です。そしてその勝利はもうすぐです」
「はい」 
「では行きましょう。そろそろ最後の戦いがはじまりますよ」
 二人は日本行きの便に向かった。そしてそこから日本に向かった。戦いに向かう為に。

神殿の闘神   完

           2004・9・9



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