神殿の闘神
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だからここはあいつに任せる。なぁに待ってろ」
彼はここでニヤリと笑った。
「今度あいつがかけてくる通信は勝利の報告だ。それを楽しみに待っておこう」
「そうですね」
結城もそれを聞き微笑んだ。
「じゃあ俺達は心の準備をしおきましょう。そして」
「そして?」
「あいつの故郷を守りましょう。何時戻ってきてもいいようにね」
それが日本であることは誰もがわかることであった。
「おお、そうだな。そうしよう」
立花もそれに対し笑顔で頷いた。そして彼等はアミーゴのカウンターに戻っていった。
ギリシアは長い歴史を持つ国である。古代ギリシア文化が知られている。それは欧州の文化の源泉と言える存在である。オリンピックもそうである。これは古代ギリシアにおいて四年に一度ギリシア圏の全ての国や都市が参加する祭典であった。男達は全裸になりその技を競い合った。
そしてギリシア神話は今も多くの人の心を捉えている。トロイアでの戦いや多くの英雄達の物語なくして欧州の文学はなかっただろう。それは今も彼等の心に生きている。
そこにはロマンがあった。美がり悲劇があった。欧州の文化はここからはじまったと言っても過言ではない。
「ここで全てがはじまったんだな」
神はアテネにいた。この街も古い歴史を持っている。
アテネの名はギリシア神話の知と戦いの女神からとられている。海神ポセイドンとこの街を争ったがアテネのオリーブを選んだこの街の市民によりアテネの街となりこの名を冠したのだ。
アテネはギリシアの中でも特に栄えた街であった。そしてペルシアと戦いそれに勝利を収めている。
「それもアテネの加護だったのかな」
神はふと呟いた。だがアテネの加護が去る時が来たのだ。
この勝利によりアテネはギリシア世界の盟主となった。だが次第に増長し各都市の反発を招くようになった。そしてスパルタとの戦いに敗れ以後衰退していく。
「驕りにより神の加護を失ったか」
神は丘の上を昇りながら言った。見れば所々に古代の遺跡がある。
アテネもギリシアの神々も今でも生きていた。この古代の遺跡の中にいるのだ。
「キリスト教により異端とされたけれど」
だが彼等は生きているのだ。そして今もギリシアの、欧州の人々の心の中にいる。
神はそう考えながら丘の上を昇る。そして頂上にやって来た。
「さてと」
そこは古いイオニア様式の神殿であった。白い大理石である。
「ここに来る、って言っていたけれど」
神は辺りを見回した。そして腕の時計を見る。
「そろそろかな」
そう言った時だった。
「久し振りだな、神敬介よ」
神殿の陰ぁら白いスーツの青年が姿を現わした。
「貴様は!」
その青年が誰か。わからない筈がなかった。
「貴様がここに来ることはわかっていた」
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